まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

できそこないの魔獣錬磨師

できそこないの魔獣錬磨師 (富士見ファンタジア文庫)

できそこないの魔獣錬磨師 (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
モンスターを従え戦わせる『魔獣錬磨師』の育成学園『ベギオム』に通うレインは学園唯一のスライムトレーナー。
周囲の嘲笑も気にせず、相棒のペムペムを信じ、誰よりも努力を重ねていた。
そんなレインに、学年3位の美少女ドラゴントレーナー・エルニアがなぜか固執してきて……。



第27回ファンタジア大賞<金賞>受賞作品。
最弱のモンスター「スライム」としか契約できない主人公が、周りの生徒たちに差別され嘲られながらも、努力と根性で強大なモンスターを打ち倒してゆくモンスター育成ファンタジー。
「最弱」が「最強」に勝つ、というのはよく耳にする売り文句ですが、それをここまで真っ直ぐに描き切った作品はちょっとレアかもしれません。
スライムだからってドラゴンに勝てぬ理由はない、と信じ抜いている主人公が爽快でした。


生まれもった紋章によって、従えることのできるモンスターの種族が決まるこの世界。
ドラゴンや神の紋章を授かったトレーナーは重宝されるけれど、レインが授かったのはダントツで人気のない世界最弱・スライムの紋章でした。
力も技も体力も、全てが劣るモンスター。でもレインはそんなスライムだってやり方次第で強いモンスターに勝てると信じ、特訓を続けます。
レイン・ペムペムコンビの戦い方はとても分かりやすい。バカのひとつ覚えみたいに、とにかく体当たり、体当たり! ちょっと分裂して、また体当たり!
知恵や工夫で相手の裏をかくのではなく、正面からぶつかって気力と根性で勝つ。熱い戦いっぷりでした。


竹を割ったようなレインの性格が実に気持ちいいですね。バカにされても笑われても全く気にしないで我が道を往く。うーん、かっこいい。
誰も彼もが彼の力を勘違いする中、幼なじみのガゼットだけが正しくレインの強さを知っているあたりも、これぞ男の子同士の友情、絆という感じでよかったです。
絆といえば、誰よりもやっぱりレインとペムペム! レインがペムペムを信じ、ペムペムがレインを信じる。他のどのトレーナーコンビにも負けない強い絆が、努力を続けるエネルギーとなり、勝利を呼びこむパワーとなる。熱血ですわ。


戦い方はどうしてもワンパターンなので、今後何か成長があるのかどうかは見どころですね。
ヒロインは現状ふたりですが、どちらが優勢かはなかなか甲乙つけがたい。ストレートに可愛らしいのはアリカですが、デレてからの落差にグッと来るのはエルニアかな。
レインがそっち方面に無頓着な分、どちらのヒロインもかなり押せ押せで来ていますから、この恋の行方も楽しみです。
文章の中でちょっと読みづらい部分もありましたが、こなれてくればさらにぐんと面白くなると思います。その辺にも期待しつつ、次巻を待つことにします。


イラストは狐印さん。ドラゴンをかっこよく描いてくれていました。
ビジュアルで一番好みなのはピックちゃんですかね! ピックちゃんの活躍はよ!


姉妹百合、それもよいものだ。