まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

白銀のソードブレイカーIII ―剣の遺志―

ストーリー
エリザの剣を修復後、サンデリアーナの工房に身を寄せる一行だが、『剣聖殺し』討伐目的の軍隊による襲撃を受ける。
なんとか脱出に成功するも、エリザたちはヴァリエガータと離れ離れに。
その上、剣聖ハヅキユキノシタの娘・サツキによって手に入れた聖剣全てを強奪されてしまい……。



上下巻で終わるとばかり思っていたら想像以上に話が広がって嬉しい誤算に包まれているソードファンタジー。
残る最後の剣聖が登場したり、過去の剣聖の関係者が活躍したりして、一層の盛り上がりを見せてくれました。
それにしてもやっぱり師匠は格好いいですね! 大好きです。


7人目の剣聖にして子供の母・ルピナスが満を持して登場しました。
1巻の頃とは違って、剣聖が出てきたらただ戦いが始まるわけではなく、話し合ったり仲間になったりするから、色々と話が難しいことになってきます。
個人的には結構好きなキャラクターでしたね。一見いい人のように思えるのだけれど、なんだかんだ最後まで敵か味方かいまいち判別がつかないところがいい。
母親としての心優しく穏やかな顔と、危険な女としての顔が同居しているあたりにもグッときました。
娘のミーナがまたいい味だしてましたね。まあ悪ガキなんですけども!


最初に『剣聖殺し』に殺されたハヅキユキノシタの娘・サツキが追手として参戦。
サンちゃんやヴァリエガータ師匠との因縁含みの再会は、強きは強きを知るという感じで、胸が熱くなりました。
サンちゃんは今回の主人公のひとりとして数えてもいいでしょうね。
過去の心の傷から戦うことができなくなっていた彼女が、勇気を振り絞って、友のために剣を取って戦おうとする姿……とても良かったです。
そして、やっぱりドラセナは剣聖の中でも特別だったのだなあと、彼女の妹であるサンちゃんの戦いっぷりを見て改めて思いました。


剣聖は残り少なくなったとはいえ、新たに聖剣を使った者もおり、旅の目的を達成するのはなかなか遠い。
しかしあとがきによれば次巻でクライマックスということで……いやいや、ここから物語をどうまとめていくのか全く予想が付きません。
願わくは、少しでも多くの登場人物にとって幸せなエンディングでありますように。最終巻が楽しみです。


畳返しにはちょっと笑ってしまった。