まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる(3)

ストーリー
雫から告げられた言葉に動揺し、綾音との距離感にも戸惑う詩也。
一方、次の文化祭公演では、4つの演劇部が合同でひとつの劇を上演するという。
綺羅星のごとく集った各チームのトップの間で奮闘する詩也だが……。



新米吸血鬼の迷える恋を描いた演劇青春ラブストーリー第3弾。
今回の演目は『とりかえばや』。各演劇部トップが演じる平安貴族のスキャンダラスな恋愛模様にドキドキさせられる演劇でした。
詩也と綾音さんだけではなく、他のトップスターたちもフィーチャーされていたところが、今までのお話とは違って新鮮でしたね。


何度もキスを交わして、すっかり相思相愛といった仲なのに、雫に翻弄されてくっつくことができないでいる詩也と綾音さん。
相手のことを思ってやったあれこれが裏目に出まくって、すれ違うふたりの気持ちが切ない。
ぐちぐちと悩んでばかりの詩也も詩也ですが、綾音さんは自分に自信がなさすぎで……。どう見ても詩也はあなたのことが好きなんだから、もっとどしっと構えてもいいんだよ、と教えてあげたくなってしまいます。まあ、そんなところもまた可愛いんですけれども。


初登場キャラにして今回の主役のひとり、チーム・アルタイルのトップスター・偲。
チーム・デネブのトップスター・百合香との、女同士の秘密の関係が今巻の大きな謎のひとつになっています。
それぞれトップだけあって演技は華やかだし、人目を引く容姿も相まって人気は抜群な両者。
詩也や綾音さん、取り巻くファンたちも巻き込んだ事件はどんどん大きくなっていき、シリアスかつスリリングなストーリー展開へとつながってゆきます。
そして終幕。偲と百合香、幼馴染みだというふたりの秘密の真相と結末は、少し切なくて、でも胸をほっこりと温めてくれました。


偲と百合香が目立っていたこともあり、また雫の影響もあり、1巻・2巻に比べて詩也と綾音さんのベタベタは控えめ。
『とりかえばや』の公演を通して少しは関係が元に戻るかなと思いきや、ああ詩也くん、キミはどうしてそういう結論になってしまうのだ!
あとがきによれば4巻5巻では「甘さ増し増し」ということで、今はぐっとこらえて、次巻に期待して待つことにいたします。
そんな次巻の演目は『エロスとプシケー』。綾音さんとカレナ先輩のダブルヒロイン! ううん楽しみ!


まゆにゃん先輩がとんでもない爆弾を抱えていそうでこわい。でもかわいい。