まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ひとりで生きるもん! 〜粋がるぼっちと高嶺の花〜

ストーリー
性格のいい美少女など存在しないという信念を持った結果、クラスでぼっちになってしまったお笑い好きの少年・織田慶人
ある日彼の机の中に、漫才の批評をしてくれという謎の手紙が投函されていた。
戸惑いながらも見知らぬ相手と文通を続ける慶人だったが、手紙の君の正体は学校一の美少女・湊千紗で……。



第10回MF文庫Jライトノベル新人賞<佳作>受賞作品。
「ぼっち」な主人公と「高嶺の花」なヒロイン、お笑い好きという共通項を持ったふたりがコンビを組んで文化祭のステージに殴り込みをかける漫才×ラブコメディ。
とても面白かった! なんでこれが佳作なのか不思議なくらい、完成度の高いラブコメでした。
ヒロインと出会ってふたりでひとつのことを成し遂げる、直球どストレートなストーリー。女の子は可愛く、会話は楽しく、シリアスな展開もしっかり絡めてきつつ、1冊できっちりとまとまっている物語のつくりはお見事。大満足です。


“美少女=悪”と思っていた方が精神的に楽だからという理由で美少女性悪説を唱える主人公・慶人
ずいぶんひねくれた方向の非モテですが、そんな慶人も唐突に現れたやたら押しの強い美少女・千紗の前にはタジタジ。
だって、どんだけ理屈をつけたところで美少女は美少女で、しかも本当にいい子なんだもの。ガンガン来られたら言うこと聞いちゃいますよね。仕方ない。
美少女は信用ならないとか、自分とのコンビでは釣り合わないとか、そんな言い訳はほっぽり出して協力したくなってしまう魅力が、千紗からは溢れていました。


最初はただの漫才の相方。でも毎日のように共に過ごして、休みの日までお出かけして、それ以上の気持ちが生まれないなんてことがあるでしょうか。なんてったって相手は特級の美少女なのです!
それ以上に致命的なのは、話が合って、一緒にいるのが楽しいということ。
好きになっちゃだめだ、なんて思っている時点で、すでに負けているようなものですよね。
美少女嫌いだったはずの慶人が、次第に千紗に心を開いていって、結局彼女を好きになってしまう心の揺れ動きが、丁寧に描かれていてよかったです。


千紗が隠していた秘密、文化祭での漫才、そしてフィナーレへ。
終盤は勢いに乗ったドラマ仕立てで、一気に読めてしまいました。いやあ、熱い。色んな意味でお熱い恋愛劇。正直たまりません。
ストーリーはここで完結でもおかしくないくらい綺麗に終わっているのですが、もしもあるならば、ぜひ続きが読んでみたいですね。
続刊にせよ新作にせよ、楽しみに待ちたいと思います。


イラストはへるるんさん。表紙の千紗さんは胸元が無防備すぎると思います。
あと女の子の泣き顔ってほんと武器ですわ……これには勝てません。


七海ちゃん(小5)ヒロイン力高すぎい!