まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる(2)

ストーリー
「チーム・レグルス」が発表した次の演目は『マイ・フェア・レディ』。
自分とまるで違う人物で、しかもテンポの良い長台詞が特徴のヒギンズ教授役に、詩也は大苦戦。
そんな中、ある失敗から「チーム・ベガ」のアイドルとの恋愛スキャンダルが持ち上がってしまい……。



超高性能・傑作生産機こと野村美月先生がおくる演劇×吸血鬼な青春ラブストーリー第2弾。
はああああ、もうもうもう、たまらないっ!! ちょっとしたことから起こる詩也と綾音さんのすれ違いが、不器用なふたりの勘違いがもどかしくて切なくって、もう!!
ようやくお互いに気持ちをぶつけ合うことができたら、今度は吹っ切れたようにたっぷりいちゃいちゃしてくれちゃって、もう半分恋人みたいなものなのだけど、でもはっきり恋人というわけじゃなくって……そんなふたりの絶妙な距離感に、胸がきゅんきゅんしっぱなしでした。


前回は劇の内容も『吸血鬼ドラキュラ』でしたから、詩也の体質と上手く絡めたストーリーになっていましたが、吸血鬼とは関係のない演目を持ってきた今回はどうするのか楽しみにページをめくりました。
やっぱり前回に比べると吸血鬼の要素は減っていますが、要所要所で話を動かすのは吸血鬼関係のあれこれだったように思います。
吸血への衝動や人並み外れた身体能力など、忘れた頃にピンポイントで描かれるとスリリングで、ちょっとゾワッときちゃいます。特に詩也の吸血衝動は恋愛模様を思いっきりかき回してくれるので、ドラマを盛り上げる立役者といえるかもしれません。とんでもない厄介者でもありますけど!


詩也の話題性を利用しようと企む新キャラ・久々沢凪乃が登場。計算高くてしたたかで、色々と経験不足な詩也にとってはなかなかの強敵です。
凪乃のいいようにされて、それでも問題をひとりで抱え込んで、どんどんドツボにはまっていく詩也。
そんな詩也のことを表面上は朗らかに応援しながらも、詩也と凪乃の仲に密かに心を痛める綾音さん。
どちらからでも、ちょっと本音を言うだけで思いは通じ合うのに、ずっとそうしなかったんですよね。なんというじれったさ! 似たもの同士! でもこのムズムズ感が癖になるんだなあ!


デートの場面での綾音さんは、もうほんとどうしちゃったのってくらいに可愛すぎて読んでてほっぺた落ちそうでした。というかエロすぎです。お姉さんのエロスが存分に発揮されちゃってます。たまりません。
詩也も、ここぞというところでは驚くほど格好良くキメてくれるからニクい! いやあ、あの決め台詞は凄まじい破壊力でした。アイドルの資質十分ですわ。本番での演技も素晴らしかったし、綾音と一緒にどんどん前に進んでいっているのが分かって、輝いているなあと思います。
これだけキスを交わしてもまだ「パートナー」という言葉でくくられているふたりですが、この先まではもう一歩というところ。
ここで気になるのは、雫の存在と、詩也の体質のことですが……。このあたりが恋にどう関わってくるのか、期待半分、不安半分で見守ることにしましょう。ああ、次の巻が楽しみだなあ!


マイ・フェア・レディ』、レンタルしてこようかな……。