まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

とある飛空士への誓約6

ストーリー
秋津連邦へと帰還し、首都・箕郷の防空任務につくことになった清顕。
若き英雄として祭り上げられた彼は、いまやヴォルテック航空隊のエースとなったイリアを撃墜するよう軍から強いられる。
両国の威信をかけた最新鋭戦闘機を託され、ふたりは燃えさかる箕郷上空で再会を果たす……。



第2部「第二次多島海戦争」編が完結となる第6弾。
いやはや、凄まじかった。かつての友人たちや、愛するひとの命を、空で奪わなくてはならないという悲しみと苦しみ。
そんなことはやりたくないのに、周囲からそうあるように追い詰められた末の、空の上での出逢い。第2部に終止符を打つ、清顕とイリアの戦いは圧巻でした。


バラバラになったエリアドールの七人は、それぞれの場所で頭角を現し、そして嵐に巻き込まれていきます。
中でも特殊なのがミオとライナ。セントヴォルトと秋津が繰り広げる戦争から遠く離れたウラノスで、戦争とはまた違う戦いへ身を投じていました。
ミオはともかく、ライナは相変わらず危なっかしくて、何をしでかすやら分かったもんじゃありませんね。彼には彼なりに、仲間たちへの思いがあるのだと信じたいものですが……。
ニナとイグナシオも厳しい状況の中頑張っていて、嬉しいかぎりです。あとはいつどうやって、「彼」がこのストーリーに関わってくるのかということが、最大の注目点ですね。


イリアにレオ隊長、ルルとララの双子……。大好きなみんなが、自分の国へと攻め入ってくるという恐怖。
戦いたくないという清顕の気持ちは、秋津の人々からすれば裏切りに映るかもしれませんが、至極当たり前の気持ちだと思います。むしろ、少し前まで友人だった相手に平然と銃を向けられる方がおかしいですよね。
でも、そんなみんなを墜とさなければ、今の仲間たちが墜とされる。大切な家族のいる街が焼かれてしまう。悩んでいる時間はもうない。
結局清顕には、戦うことしか許されていないのでした。あまりに理不尽で、やるせない。本当に戦争というのはろくでもない。消えてしまえ。


イリアと戦うことを決めた清顕と、清顕と戦うことを決めたイリア。ふたりの頂上決戦はとても綺麗でした。
戦いの中で繋がる想い。お互いの気持ち。ああ、ここが戦場の空でなければ、どんなにか素敵なロマンスの場面だったことでしょう。
そして訪れる予想外の結末。うおおおお、この展開はちょっと熱すぎる!
大きな戦いを終えて、これからはもしかしたら、エリアドールの七人が再び集結していく展開になるのかも……? 楽しみです!


今の流れだと、セシルさんだけ余りそうな予感……。