まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

グランクレスト戦記 3 白亜の公子

ストーリー
テオとシルーカが仕えるアルトゥーク伯ヴィラールの元に、連合盟主ハルーシアの公子アレクシスより君主会議開催の知らせが届く。
君主会議に向け、ハルーシアへと進軍を開始するテオとシルーカたち。
二国の間に広がる同盟領を迅速に通過するため、シルーカはある策を提示し……。



ページ数が比較的少なめの今回は、大戦に備えた準備回のような巻でした。
とはいっても面白さが減じているわけではなく、人間ドラマや外交面でしっかり魅せてくれるから、読み応えがありますね。
戦いだけではなくて、その他の部分でも楽しませてくれるところは、ファンタジー作品として大変優れていると思います。


ヴィラールさんが多方面で活躍しすぎていて、だんだん彼が主人公なんじゃないかと錯覚し始めました。まあテオが仕える相手ですからどうしても、テオよりも目立ってしまいますよね。
魔法師長マルグレットとの関係がフィーチャーされましたが、確かに想い合っているのに別れなければならないのが切なくて、胸がきゅっとしてしまいました。惚れた男の前だと可愛いな、マルグレットさん!
テオとシルーカも、いつかこのふたりのように深い絆で結ばれることになるのでしょうか。ダンスの様子などを見るかぎりでは、それはそんなに遠くない未来かもしれないなあとも思うのですが。


幻想詩連合の会議に出席するため、軍を率いて敵領を抜ける提案をしたシルーカ。
ミルザーやラシックの活躍も目覚ましかったけれど、やっぱりテオとシルーカの組は別格。敵側の状況を見抜いて的確な策を見出すシルーカはもちろん、人格者で公明正大、正々堂々としたテオがいてこその、この成果ではないでしょうか。
一方ハルーシアでの会議では、ヴィラールが巧みに論理を展開。
弁舌が立つ、頭も回る、戦にも強い、臣下に優しく、有能な部下にも恵まれていて、しっかりと未来を見据えている。いったいどこに弱点があるんだ、この男……。
今回は風雲急を告げるといった様子の引きで終わったことですし、次巻では恐らく戦になるでしょうから、ヴィラールの暴れっぷりに期待しています。
当然ながら、シルーカにも頑張ってもらいたいですね! 1巻以降、分かりやすい軍師としての活躍があまりなかったので、そろそろ彼女の本気が見たい頃合いです。楽しみ。


登場人物録のマリーネ様、眼力が凄い……。