まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖剣と邪刀の叛逆者 01.学園封鎖ゲーム

ストーリー
異能力に目覚めた少年少女を集め、教育する神城学園。
この学園は現在、史上最強と名高い生徒会長によって封鎖され、生徒は学園敷地内に軟禁されていた。
自由を取り戻すためには『決闘』で5人の支配者を倒すしかないのだが……。



岩波零先生の新作ということで手に取りました。異能力者が集う学園で、1年生の主人公が、学園を支配する3年生に立ち向かうバトルアクション。
面白かったです。微妙な能力しか持たない主人公が、工夫を凝らしたり、「伝説の武器」を手に入れたりして、格上の相手に打ち勝っていく爽快感がよかったですね。
ダブルヒロインも魅力的で、ラブコメとしても楽しみなシリーズになりそうです。


バラエティに富んだ異能力の数々は、見ていて楽しかったです。
主人公・龍の能力は、“半径3m以内に分身をひとり出現させる”というもの。分身系主人公って新しい。
別に力が強くなるわけでもなく、動きが速くなるわけでもなく、一見アリバイ工作くらいにしか使えなさそうな能力ですが、異能とハサミは使いよう。龍による能力の巧みな応用っぷりが面白かったですね。というか、鍵開けは普通に便利。
龍も、ヒロインの優希も、能力のランクはC。学園を支配する連中のランクは軒並みSからAです。
純粋な出力や戦闘力ではとても敵にならない相手だけれど、能力には相性があるし、工夫によって色々な使い方ができるし、挑戦者同士で協力だってできる。
龍と優希が、次はどんな手を使って3年生たちに挑んでいくのか。想像するだけでワクワクしてきます。
能力だけでなく、キャラクター陣も魅力的ですね。優希と、もうひとりのヒロイン・エレナは、対照的かつ模範的なダブルヒロインという感じ。
敵対関係にある3年生も、それぞれキャラが立っていてよかったです。特に不知火先輩は、そのエキゾチックな能力も含めて素敵でした。


先輩が残した「聖剣」が、まるで龍のためにあつらえたかのような武器だったのにはちょっと笑ってしまいましたが、このご都合主義感、大好きです。
これで戦うための力は手に入れましたが、自由を手にするためにはまだまだ先が長い。3年生にも何か思惑がありそうですし、今後の展開にワクワクしますね。
それから、優希とエレナとの恋愛方面も楽しみなところ。「ヒロインがふたりいるんだから主人公が分身すればいいじゃない!」ってなにそれ、天才なの? いっそもう、2組のカップルとして思いっきりイチャイチャしてもらいたいですね!


イラストは白井鋭利さん。相変わらずカラーのライティングが綺麗。
キャラデザでは五十嵐先輩が好きです。これはずるいだろ。


生徒会長の能力が気になりすぎる。