まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

焦焔の街の英雄少女

ストーリー
別世界から侵入した世界の敵・剋獣と戦う英雄、烈火の剣皇・紅地杏。
しかし彼女が英雄然としているのは表だけで、実は豆腐メンタルな女の子だった。
唯一その真実を知る幼なじみ・黄塚光義は、杏の相談に乗ったり励ましたりしながら、彼女の日常を守っていたのだが……。



豆腐メンタルな救世の英雄少女と、その幼なじみの少年による、ちょっとシリアスなアクションバトルストーリー。
表紙のイラストに惹かれて手に取ったのですが、面白かったです。ヒロインの表の顔と裏の顔のギャップが可愛いですね。
終盤のバトルは結構緊迫感があったし、エピローグは完全に不意を打たれました。なんてこった。


異世界からやってきた武具・五龍剣を身につけ、同じく異世界から侵入した怪物たちを単騎で打ち倒す力を持った英雄・剣皇。
ヒロインの杏は現状で世界に2人しかいない剣皇のうちのひとりなのですが、表で見せる凛とした振る舞いは全て演技で、本当の顔は怖がりで泣き虫な普通の女の子です。
戦いから帰ってきたと思ったら、唯一素顔を見せられる光義のところに来て、思いっきり甘えていく杏がとても可愛い。バトルパートでの格好良さと、日常パートでの光義とのどこか間の抜けたやりとりとの落差が面白かったです。
ただの幼なじみと言い張っているけれど、もう半分付き合っちゃってるよね? と言わんばかりのベタつきぶりに、ニヤニヤしてしまいました。


杏の方は他ならぬ光義のために戦っているわけですが、一方光義は無力で、杏のことを応援することしかできません。
守る者と守られる者として、好きな女の子と一緒にいられないのは、少年にとってとても辛いことだろうと思います。
戦いに巻き込まれた光義がああいった行動に出たのは、長い間溜まっていたそういう思いが、一気に噴出したからなのかもしれません。
結局こういうことになりましたが、光義と杏にとってこれで本当によかったのかどうか……正直微妙なところですね。
それにしても、エピローグの引きはずるい。「なんでやねん!」と思わずツッコんでしまいました。続きがとても気になります。


イラストは中島艶爾さん。まずイラストの量に驚かされました。場面ごとにイラストが用意されている感じで、実に豪華な印象を受けます。
壊れた街並みや、おぞましい怪物など、1枚1枚も雰囲気が出ていてよかったですね。


タタラちゃんがとても可愛くてこれは親バカになるのもわかる。