まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ヴァンキッシュ・オーバーロード 01:覇王覚醒

ストーリー
才能が因子という形で具現化して全てを決める時代、桐生将人は因子が目覚めずに悩んでいた。
ある日の放課後、将人はいきなり、二人の女殺し屋の襲撃を受ける。
危機の中、ついに目覚めた将人の才能は、世界中から危険視される『王の因子』だった……。



人に特定の才能を目覚めさせる『因子』をめぐるバトルアクション。
他人を奴隷化する『覇王因子』に目覚めた少年と、彼に差し向けられた殺し屋の少女2人が、ぶつかり合いながらも共に戦うようになるまでのお話になっています。
女の子が普通に殺し屋とかしちゃってるあたり基本物騒な世界ですが、シリアスに寄り過ぎず、ちゃんとコメディや女の子の可愛らしさも描いてくれていたので読みやすく感じました。


相手の身体を縛りつけ、それでいて心だけは縛らない『覇王因子』の設定がいいですね!
将人を殺そうとしているのにできなくて、情報も隠すことができずに、口だけ反発する美少女。悪趣味だな……でもどうしてもそそられるものがあるな!
ダブルヒロインの定番といいますか、ふたりは同じ殺し屋ながら対照的な少女です。
アイリは大人びた容姿と強気な性格。一方リゼットは幼めの容姿で性格も大人しめ。髪の色も服装も見事にバラバラで、それぞれの魅力がありました。


初めのうちこそ、将人にも反発し、少女同士でも反発し、と刺々しいやりとりが続きましたが、否応なく共に生活する中で、お互いの良さを知っていく3人。
元敵同士がいつの間にか仲良くなって一緒に戦うことを選ぶという展開は、何度やられても胸を熱くさせてくれます。特に、どちらも独りぼっちだったアイリとリゼットの共闘にはぐっとくるものがありましたね。
そのバトルも、スピーディーなアイリとパワーで押すリゼットという風に特徴が分かれていて面白みがありました。
そしてもちろん将人も。王なんていうけったいな名前がついているわりにはしばらく役立たずだった彼ですが、終盤はしっかり見せ場があってほっとしました。
それにしてもこの覚醒の方法! 唐突すぎて笑ってしまいましたわ! ごちそうさまです。


ひとまず窮地は脱したものの、まだまだ前途は多難。世界中が敵だらけという状況で、今後将人たちはどのようにして生き抜いていくのでしょうか。
何より気になるのは他の王たちの存在ですね。他の『王の因子』がどのような力を持っていて、何を仕掛けてくるのか、楽しみなところです。
もちろん、ヒロインとのキャッキャウフフな展開にも期待! 個人的にはリゼットとイチャイチャしてもらいたいですね!


イラストは白味噌さん。カラー口絵の白と黒の使い方が印象的でした。
ノアの表情に迫力があってよかったです。


アイリさんもリゼットさんも右限定なんだ……そういうものなのかな?