まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京皇帝☆北条恋歌13

東京皇帝☆北条恋歌13 (角川スニーカー文庫)

東京皇帝☆北条恋歌13 (角川スニーカー文庫)

ストーリー
進化の塔の最終到達点で急成長した衛梨珠と再会した恋歌と一斗。
すべてを受け入れた一斗は彼にしかできない決断を下すため、帝国暦82年10月へと舞い戻る。
新たな世界を作るため、来珠やゆかり子たちみんなを引き連れ、帝国暦0年へと向かう一斗だったが……。



なんだかんだでずううううっと続くような気がしていた本作も、とうとう最終巻。キャラクター総出演のお祭りエンディングでした。
繰り返す歴史改変だの世界の再構築だの話がこんがらがりすぎて正直何が何だかだし、伏線回収もたくさんあったけど色々カオスすぎてそもそも伏線自体を覚えてないし、もうしっちゃかめっちゃかです。
まあ私の理解力と記憶力のなさが原因なのかもですが、でもこのしっちゃかめっちゃか加減こそが、この作品らしいところであり、何よりの魅力なのだとも思います。ここまでこの作品を追いかけてきた時点で、何もかもを受け入れる準備は既にできているのです。洗脳されてんな。


元の世界に戻ったとしても来珠とゆかり子はあんなことになっているし、どうするんだろう……と思いきやこんな力技で解決するとは。
どうもすっきりしないような気もしますけど、まあ、パラレルワールドのことなんか考えてたらやってられませんな。ここ、何巻の場面でしたっけね。
強力なメンバーを引き連れて、ループする歴史を作り直そうと決意する一斗。8巻以降、だんだんと格好良い部分も見せるようになってきて、主人公はこうでなくちゃと思う一方、一斗らしからぬイケメンぶりに理由もなくイラッとしちゃいます。なぜかというとイケメンは敵だからです。じゃあ理由があるんじゃねえか。
しかし、ここにきての雫さんの暴露には笑ってしまいましたね。どこかに伏線ありましたっけ?
このメンツとまともに接することができている時点で、元々ただもんじゃないとは思っていましたが、さすがに想像の遥か上をすっ飛んでましたね。最後まで油断させてくれない作者です。ほんとうに。
油断させてくれないといえば、恋歌に関する衝撃の事実も。どうでもいいっちゃどうでもいいことなんですけど、なんかどうでもよくない! なんだこれ、悔しいわ!


あのキャラもこのキャラも、名前をうっすら覚えてる程度のキャラまで登場して、一斗たちのために道を切り開く展開は、ベタながらも熱かったです。
特にグッと来たのはやっぱりりせですね。この登場の仕方、まさに正統派お助けキャラ。ヒロインとしてではなく、純粋にキャラクターとしてならば、彼女が作中で誰よりも好きかもしれません。
見てください、このイラストから満ち溢れる包容力! ありがとうお母さん! 「お母さんじゃないのよっ!?」お母さんに怒られた。
花恋ちゃんや雪絵と、来珠たちとの絡みがあったのも嬉しかったですね。そして夕鶴は最後まで夕鶴でした。お前だけは本っ当に成長しないな!


このエンディングは、ハッピーエンドのようでいて、結構淋しい終わり方ですよね。受け入れがたいといえば、まあそうかもしれません。
でもまあ、一斗もヒロインズも、みんな幸せそうですから、よしとすることにしましょう。来珠がメインヒロインっぽかったしね!(重要)
13巻。数にするとそうでもありませんが、ずいぶん長いこと付き合ってきたような気がします。
最初は何の気なしに読んでいたし、確か3巻あたりではかなりグチグチ言ったような覚えもありますけど、いつの間にやら大好きなシリーズになっていましたね。
お別れは本当に残念ですが、あとがきにあったように、繰り返し読むことでまた新たな発見がありそうな作品ですから、展開を忘れないうちに、また1巻から読み直したいなあと思います。今までありがとう!


東京こうていわ!