まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京スピリット・イエーガー 異世界の幻獣、覚醒の狩人

ストーリー
高校生・久住大吾は、ゲームアプリ『ソーシャル・スピリット・イエーガー』に現れた謎のメッセージに従って三鷹駅に行く。
そこで彼が見たのは、暴れるゴブリンと、それを倒すクラスメート・高屋敷瑠奈の姿だった。
彼女が所属するギルドに連れて行かれた大吾は、異世界からのモンスターを倒すイエーガーとしてデビューするが……。



異世界から現実世界にやって来るモンスターを討伐するバトルアクション。
コミカルにモンスターを倒していく部分と、シリアスに戦いを挑んでいく部分、両方のバランスが取れた作品でした。バトル描写も勢いがありましたね。
偶然出会ったように思える主人公とヒロインが、実は……という展開も綺麗。運命に翻弄される少年少女、という感じが好みです。


ゲームアプリでモンスターを倒していたら、現実にモンスターが出てきて、主人公の隠された力が明らかに! という分かりやすさがいい。
モンスターがゲームから現実に侵食してきた、とかではなくて、元々いたモンスターに対する戦力を集めるためにゲームが開発された、っていう順序が面白いですね。異能バトル業界もソーシャルゲームに手を出さないとやっていけない時代なのか……世知辛い……。
ゲーム自体は、せいぜいイエーガーへの導入やモンスターの知識を得るくらいでバトルにはあまり関係がないのですが、さりげなくゲームを通した出会いを描いていたり、最終バトルに向けての伏線を張っていたりと、物語上の要所要所に関わるエピソードを絡めてきているあたりが上手いと思いました。
今どきのソーシャルゲームのオフ会は怖いな! 近寄らんとこ!


いきなりモンスターと戦うように言われて、特に迷った様子もなく受け入れちゃう大吾さんの将来がちょっと心配です。これが噂のゲーム脳というやつでしょうか! まあ、話が早いに越したことはないんですが!
あと、仲直りのためとはいえ、あっさり女の子をデートに誘えてしまうイケメンぶりが憎い。ゲーム越しで小学五年生のハートを奪っちゃってるあたりも憎い。ゲームばっかりやっててもモテる奴はモテるんですね……。
ヒロイン・瑠奈は、学校での猫をかぶった優等生ぶりと、気を許した相手の前でのちょっと抜けた姿とのギャップが魅力的な女の子でした。
底知れない才能の片鱗を見せる大吾と、かつてイエーガーの伝説として名を馳せた瑠奈。ふたりが出会ったことで生まれた可能性の大きさに、期待感が高まります。
心美とのことがどうなるのかも気になるところ。次巻が楽しみです。


イラストは泉彩さん。口絵のベヒモスインパクトがありました。
ワイヴァーンもそうでしたが、モンスターをきちんと描いてくれていて好感が持てます。


妹参戦フラグは立っている……のかな?