まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ストライプ・ザ・パンツァー

ストーリー
姫川響子は交通事故で瀕死の状態になったところを、宇宙生命体のストライプに寄生されることで助けられる。
心に直接話しかけてくるストライプに、響子は二週間前に家出した兄を探していたことを明かす。
実は記憶喪失だというストライプと共に、互いの“探しもの”を見つけることを約束する響子だが……。



第9回MF文庫Jライトノベル新人賞<優秀賞>受賞作品。
帯には「純情美少女と心優しい宇宙生命体のハートフル・ピュアコメディ」との文句。いや何ひとつ嘘はついていないのですが、なんといえばいいのか……つまりですね、この「宇宙生命体」というのが、パンツなのですね。主人公が。しましまの。パンツなのですね。俗にいうところのしまパンなのです。主人公が。
主人公ですから、もちろんこのパンツ、喋ります。あと空とか飛びます。おバカですね。超頭悪い設定ですね。大好きです。
とまあ、おバカ極まる設定ながら、内容は結構真面目にハートフルコメディをやっているのだから恐れ入ります。どこかシュールでどこかおかしい、そしてちょっと切ない、読み終わってほっとひと息つきたくなるようなお話でした。嘘じゃありません。


ヒロインの響子は快活で素直でまっすぐなお兄ちゃんっ子の少女。
いくら素直でもパンツ生命体を穿くことには抵抗感があるようで、初めはなかなかストライプのことを認めようとしません。そりゃそうだ。誰だって動いて喋って空飛ぶパンツなんか穿きたくないですよね。
でもパンツ生命体の力で身体を治した関係上、一定時間ストライプを脱いでいると禁断症状が出てしまうから、仕方なく彼を穿くことに。なんだこれ、ドキドキしますね!
パンツ生命体に寄生された響子は、パンツをパチーンと伸縮させることによってエネルギーを得て、宇宙戦士パンティストとして悪の宇宙人たちと戦いを繰り広げます。
ストライプもパンツとして、響子の股間を守ろうとするしっかりとした矜持を持っていて……もはや格好良いんだか格好悪いんだかよく分かりませんが、笑わせてもらいました。この、大真面目にアホなことをやっている感じが、とってもいいですよね。


学校に現れた大量パンツ泥棒。響子たちの他にもいたパンティスト。そして明かされる真実。
兄の行方を追う響子と、記憶の在処を探すストライプとの過去が思わぬ繋がりを見せ、事件は決着へと向かっていきます。
ふざけているようでお話の展開はしっかりしていて、楽しく読むことができました。もし続くようなら次も期待したいですね。


イラストはキムラダイスケさん。口絵のパンツの質感に愛を感じました。
ストライプを投げつける響子の表情が好きです。あと触手。


しまパンのような空という表現は今後使っていきたい。