まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ロック・ペーパー・シザーズ1 時、止めてから本気出す

ストーリー
異能の力『フィクション』を持つ子供だけが集められた太平洋上の学園都市・升々学園。
『時間を停止』させる能力者、行雲流水和馬が強行突破千里から受けた「お願い」は、奪われたモノを取り戻すことだった。
新たな「生徒会」を立ち上げ、和馬と共に他の生徒会と「決戦闘兵」を繰り広げる千里だが……。



生徒それぞれが「最強の能力」を持つ異能者の学園を舞台に、何でもありの決闘を繰り広げる不条理バトルコメディ。
木村先生の作品はずっと気になっていて、ちょうど新作が出たので手に取ってみたのですが……なんと言ったらいいのか、非常にカオスでした。
設定のぶっ飛び方も、キャラのぶっ飛び方も、展開のぶっ飛び方も凄い。いやあむちゃくちゃぶっ飛んでますわ。登場人物全員の苗字がなぜか四字熟語になっていて、それに対してなんの説明もないところとか、いい感じでぶっ飛んでる。ROCKだね。
正直かなりクセがある文章と思うのですが、なんだかんだで面白かったですし、これはハマるととことんハマりそうですね。


生徒たちの能力・「フィクション」のなんでもありっぷりが楽しい。
まず主人公とヒロインの能力からして、時を止めたり光速で動いたりやりたい放題ですから、新しいキャラが出てくるたびにどんな能力なんだろうとワクワクしてしまいます。
それからタイトルにも掲げられている通り、フィクションとフィクションの相性の問題。
時を止められるからといって必ず勝てるわけではなく、光速で動けるからといって負けるときもある。
「最強の能力」同士がぶつかったときにどちらが勝つのか、勝つためにはどんな競技・ゲームを持ち出せばよいのか、という思考実験が面白かったです。
キャラクターはみんなユニークですが、主人公・和馬がナチュラルに変態でいい。こんな生き方してみたい。
またヒロイン陣は、イラストの効果もあり魅力的なメンバー揃いでした。ど天然かつ無防備な千里、無口で色々唐突な殺気、強気でブレない理沙、自信満々でも打たれ弱い明日菜。
明日菜も捨てがたいけれど、個人的には殺気ちゃんが好きです。「国士無双殺気」なんていう名前からしてもうオーラを感じるじゃないですか! 彼女のもの静かな愛情表現にはこう、ぐっと来るものがありますね。


「萌え」のこととかよく分からぬままに読み終わっていましたが、ラストにはしっかり驚きも用意してくれていました。
千里が作った『浴場生徒会』が、今後どんな活躍を見せてくれるのやら、楽しみなような不安なような。
和馬が何を考えているのかということも含め、続きが気になるところですね。


イラストはQP:flapperさん。大好きなイラストレーターさんなのでとても嬉しいです。
理沙のバストの質感がなんとも……凄い。


納豆の天ぷらと納豆餃子は食べたい。