まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

覇剣の皇姫アルティーナⅣ

ストーリー
突如ベルガリア帝国に攻撃を仕掛けてきたハイブリタニア王国。
そのハイブリタニアには、ベルガリアの第三皇子バスティアンが身分を隠して留学していた。
折しも王城では、病に伏す女王が後継者を指名しようとしており……。



4巻目にしてなんと主人公交代!
……というわけではないと思うのですが、窮地に置かれているレジス&アルティーナ組を放置して、なんと舞台は余所の国へ。
島国・ハイブリタニアに留学中の第三皇子バスティアンと、その学友の少女エリーゼのお話に1冊丸ごと費やしました。
いやあさすがに驚きましたけど、結果とても面白かったので文句はありません。もしかしたらレジス組よりもバスティアン組の方が魅力的なんじゃないかとさえ思えてくるから困る。


単純で天然、難しく考えるより先に実際に行動してしまう。バスティアンはそんな皇子様です。
あんな権謀術数渦巻く宮廷にいてよくもまあこんな性格に育ったなと思いますが、アルティーナと同じくらいに好感が持てるキャラですね。
一方、ヒロインのエリーゼ。女王の崩御が近づくと共に姿を消して……って、さすがに分かっちゃうと思いますが、奇しくもバスティアンと似たような裏事情のある女の子。
しかしどの国でも後継者争いはあるもので。平和主義でまっすぐな心を持つエリーゼは、王城に向かう途中、反対派から追われる身になってしまいます。
さあ、そこで女の子を助けなくて何がヒーローか! とばかりに後先も飛び込んでくるバスティアン。しかも追いかけてきた理由が実にばからしくて、なんだろう、よく分かんないけど格好良いよあんた!
隣国の皇子様と王女様がふたりきりで身を隠して逃避行! しかし行く手には待ち受ける罠! ううん、実にロマンではないですか!


敵対しあう国の王族同士。それも今となっては、戦争の始まった国の……。
レジスたちよりずっと恋愛関係が進んでいると思われるバスティアンとエリーゼですが、どう考えても、このままでは報われそうにない。
これから彼らふたりにどんな運命が待ち受けているのでしょうか。大いに楽しみですね。
バスティアンはレジスのように策略を巡らせるタイプの主人公ではありません。もっと分かりやすく、真正面から相手にぶつかって女の子を救っちゃう主人公です。まさにレジスが物語で読んで憧れそうな、そんなヒーロー像。
どちらがいいということではなく、タイプの違うふたりの主人公の物語を、それぞれ応援していきたいですね。いつかその物語が交差するようなこともあるのかもしれません。


マーガレット王女も嫌いじゃないです。なんかエロいし。