天翔虎の軍師3

天翔虎の軍師 (3) (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
征西将軍レンギルをトゥルネー平原で討ち倒し勢いづくフレリカ軍。
軍師シエルはこの機に乗じて、北のエリューディンへ遠征を決める。
一方、帝国ではレンギルの敗戦を受けて、大軍師ユミカ自らが出撃することになり……。


満を持して天竜姫の軍師ユミカが動き出す第3弾。
いやあ嬉しい！　はっきり言ってユミカが一番好きなもので、彼女が本気を出してくるのを今か今かと待っていたのです。
シエルのことがそんなに好きじゃないというのもありますが、どうしてもユミカのことばかり応援してしまいますね……。
敵側を応援するのはどうなんだろうと思いつつ、あとがきを読む限りでは世間の皆さんもユミカ派のようですし、これからも彼女には頑張っていただきたいところ。


さて、フレリカ軍では軍師シエルの下で働く副軍師・ニーアが登場。
軍師が複数人出てくるのはいいですね。今回のように本拠地と遠征先にひとりずつ参戦してそれぞれ計略を巡らせるといったことができるので、いくつも戦線を作ることができて、国対国の戦いにより広がりが出てくると思います。
シエルは小賢しいタイプの主人公なので個人的にはあんまり魅力を感じないんですが、ニーナは結構お気に入りです。
確かに才能はあるけれど無駄に自信満々なところが逆におバカさんって感じでいい。わりと単純なキャラの方が好きなんですよね。
このまま行くと絶対にどこかで失敗するんだろうなと予想が付くからこそ、頑張れと応援したくなるヒロインでした。シエルやユミカといった軍師たちに追いつこうと必死に背伸びをしている健気な姿も高ポイントです。


シエル対ユミカ、それはすなわち主人公対ラスボスの戦いのようなもので、まだまだストーリーも序盤のうちに決着がついてしまっては困るわけです。
主人公がやられてしまうのもいけませんが、ラスボスが簡単に負けてしまってもいけません。
物語的にもそんな微妙なバランスのところで繰り広げられた今回の戦い、なかなかに楽しかったです。
そういえば1巻のときも逃亡戦でしたが、逃げ戦こそドラマが生まれやすいもの。将軍、格好良かったですね。
戦いの舞台は転々と移り変わっています。次はどのような展開を見せてくれるのでしょうか。期待しています。


どうもミオ様の影が薄い……。