まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常

セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)

セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)

ストーリー
勧誘してきた美少女に釣られ、演劇部に入部することになったカキタニ。
だが、彼が入部した演劇部は、世の中をうまく渡っていくために『演技』を活用しようとする女生徒たちの集まりだった。
カキタニはちょっと変わった5人の先輩たちと共に、他愛もない、でも楽しい放課後を過ごしていく……。



第4回このライトノベルがすごい!大賞<大賞>受賞作品。
大賞作ということで手に取ってみたのですが、いやはや、ちょっとびっくりするくらいに面白かったです。
お話に大きな山があるわけではなく、ただ部室での駄弁りを描いているだけなんですが、純粋な会話劇でここまで笑わせてくれるのは凄い。ギャグのセンスが私の好みなのかも。お気に入りのシリーズになりそうです。


語り手は部内で唯一の男子にしてこの春中学に入学したカキタニくん。読んでいる間はあんまり意識しませんでしたが、中1の主人公ってかなり珍しいような気がします。
地の文は全てカキタニくんの語りで、丁寧語で描かれているのですが、ぶっちゃけ地の文よりも圧倒的に会話文の方が多いですね。
その会話ですが、非常にテンポがいい。小さなギャグをポンポン入れ込んできていて、ギャグに笑っている間に次のギャグが来るという感じで、読んでいてとても楽しかったです。
ところどころ「そりゃねーだろ」という流れもあるんですけど、それも込みでなんか好きになっちゃいました。仕方ないね。


5人の先輩美少女たちはみんな個性たっぷり。1巻目ということでわりとキャラ紹介の意味合いも強く、各章で1〜2人ずつくらい女の子がメインとして描かれました。
特に好きなのは……うーん、縦ロール先輩ことスズメちゃんでしょうか。なんといってもカキタニが演劇部に参加することになるきっかけとなったヒロインですし、彼女がいつも中心で会話を回しているような気がします。まあ、貴重なツッコミキャラだからということもあるんでしょうけど……。
カキタニが片思いしているモモ先輩も捨てがたいですね。ぽわぽわしているようでちょいちょい腹黒さを垣間見せるときがあるのがたまりません。
あとはニーナ先輩ですか。こちらはもう分かりやすい天然悪女。でもこのあざとさには勝てないですよね。分かる。分かるよカキタニくん。
正直どのヒロインもカキタニとくっつくようには思えず、このままずっとゆるい関係が続いていくような気がします。もしそういった展開があるのなら、それはそれで楽しめそうではありますけれどね。


今回は部員が全員揃うことはありませんでしたが、次巻では6人での会話が見られるのでしょうか。
3人や4人でも十分カオスなので全員揃ったらどうなってしまうのかちょっと想像がつかないけれど、期待して待ちたいところです。


イラストは皆村春樹さん。個人的に今イチオシのイラストレーターさんです。
ふわふわした感じのカラーもいいんですが、本文イラストの女の子たちの表情が好きなんですよね。


最近同郷の作家さんを目にすることが多くて嬉しい。