まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE

ストーリー
幼い頃に世間から切り離された寺に預けられ、下っ端として雑用をこなす少女・秋乃。
ある日秋乃は新入りの少女の面倒を見るように命じられる。
蛟の生成りだという新入りに困惑しつつも、初めての友情を育む秋乃だったが……。



怒涛の展開の連続で幕を閉じた第一部から、雰囲気をがらりと変えての第二部開幕編。
中心として描かれる主人公の交代、新キャラの登場などありましたが、やはり熱いところは熱く、盛り上がるところはしっかり盛り上げて楽しませてくれました。


どうやら第二部の主人公は夏目になる様子。まあ春虎があんなことになってしまったので、当然といえば当然ですね。
思えば夏目は、塾生としては優等生ぶりを発揮していたものの、実際の戦いの場面では春虎ほどド派手なことをしてきたわけではありませんでした。
かつては春虎に背中を追われる立場だった夏目ですが、彼は一足飛びに成長して夏目のことをあっという間に追い抜いてしまいました。今度は夏目が追いかける番です。
春虎は、まあ、相当イレギュラーなケースだったので、彼ほどとんでもない成長を遂げることはたぶんないのだろうと思います。でも夏目ならきっと、春虎とは違う、何か凄いことをやってみせてくれるような気がしてなりません。夏目さんの本気が今から楽しみです。


前巻ラストから情勢が大きく移り変わっていて、まだ明かされていないことも多いのですが、少なくとも、楽しくわいわい塾生活、という感じではなくなったらしく、少し寂しい。春虎はもちろん、夏目も冬児も陰陽庁から身を隠しているようですしね。
友人たちとも会えず、山寺にひとりやってきた夏目は、やはりどこか辛そうで、追い詰められているように見えました。
でもそんな夏目にも新たな出会いが。ウサギの生成りだという少女・秋乃です。
別に術を使えるわけでもなく、生成りの力で足は速いけれど他にこれといった取り柄もなさそうな、わりと地味な女の子でした。とはいえ「春」虎と「夏」目に続く名前を与えられたキャラですから、きっと何か大きな役割を与えられているのだろうと思います。
ひとまず今は、ひとりぼっちの夏目と友情を交わしてほっこりさせてくれたことに感謝。他のキャラとの絡みも早く見たいところですね。


いきなり3人の『十二神将』にも驚きましたが、それに対抗して夏目の後ろ盾も登場してくるわ、倉橋長官は相変わらずの黒幕っぷりだわ、大友や天海は姿さえ見せないわで、色んな勢力の大人たちの思惑が交錯しまくって何が何やら。陰陽師は陰謀が大好き。
中でも一番不可解なのが春虎です。いやあもう、完全にラスボス臭漂ってますよねこの人。口絵イラストとか格好良すぎて鳥肌立ちました。
春虎がいったい何を考えているのかは分かりませんが、今のままでは夏目があまりに不憫すぎるので、なんとか会う機会ができればいいのにと思います。
今回は京子や鈴鹿といった主要メンバーがほとんど登場しませんでしたが、次は舞台も東京に戻って、春虎と夏目以外のメンバーも登場してくるとのこと。
もう、みんなの今が気になって気になって仕方ありません。続きが待ち遠しいですね。


アニメの影響で鈴鹿の株がさらに上昇中。