まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

六花の勇者4

六花の勇者  4 (スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者 4 (スーパーダッシュ文庫)

ストーリー
ドズーの話から、テグネウの切り札が「黒の徒花」とよばれる聖具であることを知った六花の勇者たち。
アドレットはその聖具が造られた神殿へ向かい、正体を暴くことを決める。
一方、テグネウは六花の勇者を阻止するため、人間を兵器に作り替えた「屍兵」を動員し……。



ドズーとナッシェタニアが合流して一層混然としてきた六花の勇者一行。
ただでさえ七人目が紛れ込んでいるというのに、さらに敵か味方か分からないメンバーが増えちゃってもう何がどうやっているのやら。相変わらずそれぞれの勇者は意見も考え方もバラバラだし、パーティーが解体せず、脱落者のひとりも出ずに済んでいるのがもはや奇跡に思えてきます。いつまでこれが続くのか……。


今回のメインはロロニア。あんな登場の仕方をしてきたわりには意外と早くターンが回ってきましたね。
人を改造して作られた「屍兵」を唯一救おうとするロロニア。切羽詰まっている勇者たちからすればめちゃくちゃ面倒くさい奴になってます。まあ彼女の気持ちも分からないではないんですけど、正直結構邪魔でした。
思えば2巻でのモーラも、3巻でのゴルドフも、そして今回のロロニアも、自分の気持ちをパーティー全体の意志に優先させた結果それぞれの自分勝手な行動に出ていたわけで、結局まだまだまとまりがないっていうことなんだろうなと思います。
しかしその自分勝手が、最終的に全体のプラスに働くことになったりするんだからまた面白い。今回も心情的にロロニアには賛成しがたい部分が多々ありましたが、いざ振り返ってみると、よくやったと言わざるを得ません。結果論ですけどね。
味方の思惑と敵の陰謀と、両方が複雑に絡み合って、最終的に誰も予想していなかった展開が待っている。巧妙なストーリーの前に、もはや白旗を振る他ありません。


さて、今回はアドレットの過去にも少し触れられました。ロロニアは唯一以前のアドレットを知る勇者ですからね。
アドレットと、その故郷の友人とが辿った数奇な運命。まったくハッピーエンドでもなんでもないのですが、胸にじんわりと来るものがありました。
ライナの孤独な信号に気付くことができたのは、たぶんアドレットだけだったでしょう。もちろんロロニアがいてこそのものでしたが。


またも衝撃の情報がもたらされました。ひとつ謎が解けたと思ったらまたいくつも謎が出てくるという状況に目が回ります。
そろそろ、彼女のメイン回が来るかもしれませんね。彼女にもたらされた大きな謎はもちろん、アドレットとの関係がどうなるのかにも期待です。
それから地味に悪女モードのナッシェタニアさんが好きなので、彼女の活躍も楽しみ。ああ、続きが待ち遠しい!


しかしハンスさんの安定感は半端ないな……。そういうキャラこそが怪しいのだけれど。