まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズEX1 party in nest

ストーリー
ある日の朝、目を覚ました春虎はコンが隣で寝ているのを発見する。
なぜかコンの実体化が解けず、隠形も上手くいかなくなってしまったのだ。
仕方なくコンを留守番に残して塾へ行く春虎だったが……。



シリーズ初の短編集。といっても、4巻と5巻は半分短編集みたいなものでしたけど。
コン、京子、冬児、天馬、そして春虎と北斗(夏目)と、短編ごとに主人公が変わって、陰陽塾でのドタバタな日常だったり、ちょっとシリアスな過去に触れる内容だったりが描かれました。
時系列的には本編2巻と3巻の間のエピソードということで、だいぶ懐かしい感じ。今は本編の方が大変なことになっているので、平和な日常があった頃の素晴らしさを噛みしめるような番外編になったのではないでしょうか。


コンの短編はいちばんこの作品らしいドタバタギャグ回。コンも本編最新刊ではものすごいことになっていたキャラですが、この頃はポンコツな部分の方が目立っていて癒されます。夏目の部屋に何があるのかがめちゃくちゃ気になってきたのでいつかコンには挑戦してもらいたいところ。
京子の短編は夏目とデート(!)するお話。夏目の一挙一動にドキドキする京子と、「同性だから」平然と京子に接する夏目のギャップがなんとなく切ない。
京子はほんとうに夏目のことが好きだったんだなと思わされる一編でした。夏目は本当に罪な子です。
冬児の短編はちょっと異色なシリアス回。冬児も作中トップレベルで謎の多いキャラだけに、そんな彼の過去が少しだけ覗ける今回のお話は貴重な機会でした。
元悪友への冬児の思いの熱さは元より、さりげない現悪友からの手助けが心にくいですね。
天馬の短編もドタバタギャグエピソード。派手な周囲のメンツにひとりだけ混じっていることで天馬が感じる壁というものは、想像以上に高いものなんだろうと思います。
まあちょっと卑屈すぎるような気はしますけど、天馬が感じているよりもみんな天馬のことを思っているんだということが、これで分かったんじゃないかな。
最後の短編は春虎と北斗が仲良くなるまでのお話。北斗を操るために夏目がどれだけ苦心したのかが分かる一編でした。
もしここで北斗は夏目なんだと明かすことができていたら……物語は今とはだいぶ違った方向へ進んでいたのかもしれません。


どの短編もそれぞれキャラが暴れていて楽しいお話でした。
ああ、でもムードメーカーたる鈴鹿がいないのだけは物足りなかったですね。当時はまだ入学してきていないのでいないのが当然なんですけど。表紙イラストにしっかり描かれてるから期待しちゃってたんですよね。
それから、春虎と夏目のイチャイチャ回がなかったのも残念。まあこのあたりは、次の短編集に期待するとしましょう。
次巻ではいよいよ本編第二部突入とのこと。テンションが高まりすぎてとても待ちきれません。楽しみ。


いないはずなのに文中イラストにもしっかり登場してくる鈴鹿様はさすがの存在感としか言いようがない。