まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜離婚の前に身代わり解消!?〜

ストーリー
新婚旅行の旅先でうっかりクロウへの恋心を自覚してしまったフェル。
お仕事だからと自分を戒めるフェルだが、むしろ想いは育つばかり。
城に帰るまでに彼を嫌いになる、と決めたところで、突然狼の群れに襲われてしまい……。



フェルさん、遂に陥落。好きになっちゃいけない相手を好きになってしまって、この気持ちは気のせいだとか、嫌いだった頃に戻ろうとか、そう思い込めるように頑張るんだけれど、どうしても恋心からは逃れられなくて困り果てるフェルが可愛すぎて困ってしまいます。
しかもそんなときに限って、クロウがやたら優しく接してくるもんだから、タイミングが悪いというかなんというか。好きな相手に優しくされたら、そりゃあ嫌いになろうにもなれないというものです。
あれ、このままいったらあっさりくっついちゃいそうだぞ、という感じのかなりいい流れがやってきたところで、いやいやそう簡単にはいかせませんよ、とお邪魔が入るのが今回のハイライト。現状におけるラスボス候補筆頭、本物のシレイネ姫が満を持してご登場あそばしました。


奥方さまから一般庶民へと舞い戻ったフェル。しかしもちろん、彼女が何もせずに引っ込むはずがありません。満ち溢れる行動力こそが彼女の最大の武器ですから。
今回もだいぶぶっ飛んだことをやらかしてくれましたね。なんというか文字通りぶっ飛んでましたが。なんなの。工作兵か何かなの。もしそうだとしてもめちゃくちゃ有能ですね! 分かってたけどね!
そして、なんだかんだで潜入を果たした城での思いもかけない「出会い」。あのときからずっと続く、それでいて新しく芽生えた本当の友情。知らず胸が熱くなりました。ああ、やっぱりいい子だな……。
一方、愛する妻と離れ離れになってしまった旦那さま。シレイネ姫との全面対決モードへと突入します。
シレイネにはてっきり深い陰謀があるものだと思っていたのですが、どうやら存外に捨て身の様子。セタンタ陛下とはまた違った思惑を持っているようで、やっぱりフェルには特別な思いを抱いているのかもしれません。
しかしフェルのことを大切にしているのはクロウも同じ。毒龍と毒妻の冷たい戦いにゾクゾクです。


フェルもクロウもお互いのことを想っているのに、それぞれの理由から伝えられないその気持ち。たった1枚の扉が、あまりにぶ厚くふたりを隔てます。
偽の花嫁になったから出逢えたけれど、偽の花嫁だからこそすれ違ってしまうジレンマが切ない。
でも、だからといって立ち止まってばかりいるのは、フェルらしくも、クロウらしくもありません。
1歩踏み出したフェルの決意、そしてクロウの反撃。ここからお話がどのように動いていくのか楽しみで仕方ないですね。
次巻は早めに出てくれるということでとても嬉しいです。ああ、待ち遠しい!


購入特典でついてきたペーパーの漫画が神がかっていたのですが、コミカライズはまだですか。