まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

椎名町先輩の安全日

ストーリー
図書委員の椎名町香夜先輩から突如大胆なことを告げられた桜田門次郎。
期待に胸を膨らませ、先輩の住む『時計塔管理人室』へと深夜赴く。
ところが部屋に入った次郎が見たのは、血まみれで倒れる先輩の姿だった……。



何も言わずに表紙を見てください。うん、凄いインパクト。一本釣りする気満々のタイトルはもちろんですが、主にこの表紙イラストに惹かれて読みました。
さて、小柄で清楚でこのバスト。こんな愛らしき先輩から、“安全日なので部屋まで来て”なんて言われたらどうするか。行くでしょ。もう身命を賭して行くしかないでしょ。
さぞやウフフなラブコメ展開が待ち受けているのだろうと思っていたら、やってきたのは唐突なサスペンスと学園異能バトル、ちょっぴりミステリー風味。いや、素直に面白かったです。特に調査が始まってからの中終盤は、一気に最後まで読ませてくれるパワーがありましたね。
おっぱいに釣られてよかった。やっぱりおっぱいは正義だったんだ。


一度刺され、そして生き返ったヒロイン・椎名町先輩と主人公・次郎。
「安全日」だから命が助かったのだという発想がまずユニークで楽しい。字面的には合ってる。青少年男子の妄想的には全然合ってないけど。
いきなりこんな戦いに巻き込まれて、一般の高校生ならば困ってしまうところ。憧れの先輩から頼られているのは嬉しいけれど、彼女を守れるような力もないし……。
でも次郎さんは違います。彼も、先輩ほどのファンタジーな存在ではないとはいえ、高校生としてはかなりイレギュラーな人物だったのです。先輩から譲られた異能と持ち前の戦闘能力をフルに発揮し、次郎は先輩を守るための戦いへと身を投じていくことになります。
いやはや、第二話の冒頭でのいきなりのカミングアウトには驚かされてしまいましたね。次郎についてだけでなく、要所要所で隠されていた秘密が明かされていくので、いつも新鮮な驚きを持ってお話に浸ることができました。読者を物語に引きこむために、かなり上手い作りだと思います。


椎名町先輩を初めとしたヒロイン陣がまた魅力的でいいですね。無防備で大胆で、かつ恥ずかしがり屋な先輩にもたいへんに癒されたのですが、個人的にいちばんグッと来たのは先輩や次郎と共に調査を進める後輩・八殿識。
次郎とのやりとりがとても楽しくて大好きです。息をするようにセクハラをかましてくるのが最高。こんな後輩に出会いたかった。
というか、今までモテたことがないとか言いながら、こんな下ネタ満載のトークを平然と女の子と繰り広げられる次郎さんの潜在能力の高さにわたくしドン引きですよ。これが生まれつきのリア充というやつか……。
唯香や那岐もそれぞれ違った可愛さのあるヒロインで良かったです。目移りしてしまいますね。


ラストのたたみかけるような謎解きとバトルが素晴らしい。この顛末はちょっと予想外でした。伏線回収も綺麗でしたね。
「安全日」のあたりの設定で、実はちょっとよく分からないというか、首をひねってしまった部分もあったのですが、まああんまり難しく考えても仕方ないですかね。ダジャレみたいなもんですからね。
今後の展開がどうなっていくのかは分かりませんが、この調子で続いていってくれるなら、とても楽しみなシリーズになってくれそうな予感。次巻に期待です。


イラストはCARNELIANさん。表紙の圧倒的インパクトは既に述べた通り。
1枚1枚が本当に丁寧で、ヒロインみんなを実に可愛らしく描いてくれていたと思います。


安全日でもしっかりアレを購入していく次郎さんは男の鑑。