まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

落第騎士の英雄譚

ストーリー
《魔導騎士》を育成する学園で、魔法の才能に恵まれず落ちこぼれた《落第騎士》の黒鉄一輝。
新学期、彼は異国の皇女にして《A級騎士》のステラと男女でペアのルームメイトにされてしまう。
部屋のルール決め権と「敗者は一生服従」の条件を賭け、ステラと決闘することになる一輝だったが……。



気になっていた作家さんの新作ということで手に取ってみました。魔力が少なく落ちこぼれた少年が、周囲との魔力の差を卓越した剣技で埋めて、強敵をなぎ倒していく学園バトルアクション。
とても面白かったです! 魔力という才能の壁を、磨き上げた体術で乗り越えていく主人公が格好良い。
最弱が最強に勝つ。まさに王道展開と呼ぶべきものですが、王道だからこそ熱いということもあるのです。
「最弱」と書いて「さいきょう」と読ませちゃうあたりとかね。もうさんざん使い古されて一歩間違えたら寒くなっちゃいそうなもんですけど、やっぱり読むとハートが震えちゃうから、こういうのはいつまでも王道なんだろうと思います。


主人公とヒロインの関係性が素晴らしいですね。
「最弱」の主人公・一輝と、「最強」のヒロイン・ステラ。落ちこぼれと天才。庶民とお姫様。何から何まで対照的なふたりですが、出会ってすぐの決闘や寮での共同生活、犯罪組織との戦いなどを経て次第に心を通わせていきます。
お互いに相手を尊敬して、共に高めあっていく両者は、ただの恋愛以上に強い絆で結ばれていると言えるでしょう。
ステラさんが一国の皇女にしてはやたら大胆なところはご愛嬌。あれですよ、免疫がないぶん落ちたら一直線だっていうことですよ。真っ赤になりながらぐいぐい攻めていくステラさんはめちゃくちゃ可愛かったです。
そんな彼女の前に立ち塞がったライバルが、一輝の妹・珠雫。こちらはステラ以上に押せ押せな女の子。
あれだけやっといてステラには勝てる見込みがなさそうなのが不憫ですが、彼女ならめげずに攻め続けそうな予感。
ステラも珠雫も、ヒロインとしてだけではなくバトルの戦力としてもたいへん魅力的なのがいいですね。まあアリスもそうなんですけど、アリスはちょっとヒロインとは言えないのでげふんげふん。


学生騎士の頂点を決める戦いのデビュー戦。絵に描いたように嫌味な敵キャラ。落ちこぼれゆえに周囲みんなから侮られる一輝。
読んでいて実にフラストレーションが溜まりましたが、それを一気に払拭してくれたのがステラの一喝。何これ超気持ちいい。
溜まったものを全部吐き出させてくれる熱いバトルに鳥肌が立ちました。気分爽快です。
さらにエピローグでは恋愛方面での急展開まで。終盤のたたみかけが素晴らしかったですね。
バトルも恋愛もどんどん盛り上がっていきそうな予感で、今後の展開が実に気になります。次巻が楽しみです。


イラストはをんさん。女の子の体つきがセクシーでいい。
バトルの挿絵もどんどん描いていただきたいですね。


生徒会役員の面々にそこはかとなく漂う小物臭……。