まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

アニソンの神様 score.02

アニソンの神様 score.02 (このライトノベルがすごい! 文庫)

アニソンの神様 score.02 (このライトノベルがすごい! 文庫)

ストーリー
文化祭ライブを成功させたエヴァたちの次の目標は、高校生バンドを対象とした合同ライブ。
初めてのライブイベントにメンバーが浮き足立つ中、ドラム担当の京子は浮かない顔をしていた。
その原因は彼女の中学時代のバンド仲間との苦い過去にあって……。



実在のアニソンが登場する青春バンドストーリー第2弾。
表紙を見れば分かるとおり、今回は京子の話がメイン。京子が過去に参加していたバンドのことや、人間関係のもつれ、ちょっとしたことからぎくしゃくしていくメンバーたちの姿が描かれました。バンドものの宿命とも言えるでしょう。
新キャラとして京子のかつてのバンドメンバー・椎奈が登場。今回はレーゲン・ボーデンのライバル的な立ち位置として活躍してくれました。


エヴァは光り輝く主人公です。才能とやる気に満ち溢れ、彼女の前には暗いことなんて何もなくて、いつまでも元気いっぱいに走っていってしまいそうに見えます。
そこが彼女の何よりの魅力でもあるんですが、周囲にいる者からすると、つい引け目を感じてしまうのも仕方ないというもの。
自分の好きなものを好きと公言しながらもみんなの真ん中にいる彼女の姿は、アニソン好きをずっと隠し続けてきた京子にとっては眩しすぎたかもしれません。
何よりエヴァはいい子ですからね。嫌いになっちゃえば楽なんですが、とてもそうはできなくて、自分のことばかり嫌いになってしまいそう。まったく罪な主人公です。
そんなエヴァももちろんひとりの女の子ですから、みんなと同じように悩むし不安になるしゆきづまることだってあります。でももちろん、彼女には仲間がいます。頼れるバンドメンバーが。
中でも今回大きな力になったのは弦人。いやあ、意外なほどにエヴァと弦人はふたりきりの場面が多くて、どきどきしてしまいました。
かつてあれだけ熱意を持って誘い誘われた仲間だからこそ、より強い絆がふたりの間には流れているのかもしれません。いつも先頭でみんなを引っ張っていくエヴァが、ふと振り返って頼ることのできる貴重な相手。弦人もまんざらでもないようですし、ふたりでゆっくりステップアップしていけたら素敵ですね。


ライブで演奏されたのは4曲。言わせていただきます。言わないでか。卑・怯・だ!!
1巻の文化祭ライブの選曲も卑怯でしたが、今回も負けず劣らず卑怯でした。これはずるいですよ。ずるいとしか言いようがない。
個人的には1曲目と、そして何より4曲目ですね。思い入れのある曲だけに、ついぐっときてしまいます。
1曲目は最初の1行でテンションがガツンと上がりましたし、4曲目はもう……。このストーリーのラストでこの曲がくるというのが完璧すぎて、ただただ素晴らしかったです。
ほんと、アニメが見たくなって、アニソンが聴きたくなる作品ですね。そしてカラオケに行きたくなる。


次回はどうやら琴音がメインになる様子。こうやってメンバーをひとりずつ掘り下げていくのでしょうか。
ボカロなどネット音楽がテーマになるということで、今までとは少し違ったノリになるのかも。楽しみです。


これは次も帯コメントに期待せざるを得ない。