犬とハサミは使いよう2
- 作者: 更伊俊介,鍋島テツヒロ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2011/04/30
- メディア: 文庫
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秋山忍こと夏野霧姫のマンションに襲来した変態担当編集・柊鈴菜。
彼女との話し合いの中、夏野がスランプに陥っていることが明らかになる。
脱スランプのため、何故か街に出没する通り魔を退治しに行くと言い出す夏野だが……。
ドMで変態な編集者とか、ヤンデレで変態な妹とかが登場してきた第2弾。まともな登場人物はいないんですか。いないんですね。
いやしかし鈴菜さんはいいキャラしてました。最初の暴走ぶりはちょっとと思いましたけど。ドMでもいいんで、電波は勘弁してください。
夏野とのコンビネーションが素晴らしいですね。最強に嫌なコンビネーションですけどね。ぴったり息が合っていることは確かです。ドS作家にドM編集者をあてがってみせる書林社の慧眼に乾杯。
その夏野さんはといえば、1巻の事件の影響でちょいちょい犬に発じょ……恋しているような様子を見せるようになりました。
普段が普段なだけに全然ヒロインっぽくないなと思っていたんですが、こう、ちょっと可愛らしい部分が出てくるだけでぐっと来てしまうんだから読者ってのは簡単なもんですね。あ、私のことです。
しかし本当に犬が相手でいいんですかねこの人。まあ財力はあるわけですし、このままずっと和人を養って(飼って)いけばくっついたことになるんですかね。それともなに、キスとかしちゃうの? 犬と? もっと先まで行っちゃうの? いや、恋愛は自由でいいと思いますけど。
兄もぶっ飛んでいるけれど、妹はさらにぶっ飛んでいて、うん、この兄にしてこの妹あり。
いえ、この兄への愛情の大きさは素敵ですね。ちょっと大きすぎて怖いんですけど。
夏野と円香の対峙は、いかにも修羅場という感じで迫力がありました。やっぱり夏野さん、いざという時に頼りになります。
前巻に引き続きラストバトルはツッコミ待ちでした。いや逆にツッコんだら負けなのか。やってることはギャグなのに戦っている本人たちは意外とシリアスだから困る。
ただ、兄を奪った相手に本気で向かってくる円香を、正々堂々とハサミで迎え撃つ夏野は格好良かったです。
和人は犬だから、物語に決着を付ける役にはなれそうにないと思っていたのですが、そうでもなかったようで。やればできるじゃないですか!
不条理ギャグで押しまくるストーリーに紛れ込ませてきっちり伏線を張ってきているあたりが憎い。どんでん返しおいしいです。
読者と編集者、同じ作家を愛しながらも立場が違う両者は、だからこそ絶対に分かり合えない。ラスボス・鈴菜さんの今後の活躍に期待ですね。
これは最終巻まで『色欲』を書かないパターン?