まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖断罪ドロシー03 きみへとつづく長い道

ストーリー
エルチネに魔法の半永久触媒である籠手を奪われたカルアは、昔馴染みを頼り、鉄の心臓協会の助力を得る。
情報力を生かしてエルチネに迫るカルアだが、実力の半分も出せずに苦戦をしいられることに。
帝国軍の追っ手も現れて状況が悪化する中、ドロシーはまたしても魔王の血を暴走させてしまい……。



一気にダークな方面に針が振り切れて驚きました。それなりに暗い部分はあったものの、基本的には穏やかなお話だったと思っていたのですが。
これまでとは別種の面白さがあったのは確かです。ただ、取り返しのつかないイベントが次々に、それもあっさりと起こってしまったので、読んでいて切なくなりました。
これからはこういうノリで続いていくのでしょうか。ハッピーエンドはどこにあるの。


自らの力でカルアを傷つけることを恐れ、彼の前から姿を消すドロシー。ずっと一緒にいたドロシーが隣にいない状況はやはり寂しいものです。
ドロシーの不在だけでなく、なかなか捕まらないエルチネのことや、籠手がないせいで思うように戦えないことなども合わさってどこも辛い状況。
ドロシーはドロシーで、色んな意味で危ない男の元に身を寄せちゃってるもんだから気が気でないし、もう頼むから早くカルアと合流してくれよと願いながら読みました。
それからそう、帝国軍の追っ手コンビとは、なんだかんだで今後も上手くやっていくもんだとばかり思ってました。思っていたのに。
アンナマリーもシズも、ドロシーに負けないくらい好きなキャラなんです。それだけに残念でなりません。


仲間もなくしてふたり、いよいよ追い詰められたカルアとドロシー。
もはや残っているのはお互いの身だけ。そんな状況で、お互いのことを改めて見つめなおす機会が得られたことだけは、良かったかもしれません。
しかし無慈悲な運命は、そんなふたりの、大切なわずかな時間さえも奪っていきました。
目まぐるしく移り変わる状況と、波乱に次ぐ波乱。どこに目をやっても暗いことばかりのお話になってきた感がありますが、どこかに希望の光は残されているのでしょうか。
その光を信じて、続きを待ちたいと思います。


深夜にカバー折り返しの著者紹介を読んで不意打ちくらいました。胃に。