まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

覇剣の皇姫アルティーナⅢ

ストーリー
第二皇子ラトレイユからの要請に応じ、帝都での建国記念祭へ出席するアルティーナ。
宮廷では軍権を握るラトレイユだけでなく、幾つもの勢力が待ち構えていた。
政敵たちが皇帝を前に策謀を交錯させる中、レジスは後手を踏んでしまうが……。



2巻までの他国との戦いから一転、今回は帝国内での戦い、すなわち宮廷での政争が描かれました。
今まではやたら大きな剣をぶん回す美少女という印象ばかりだったアルティーナの「お姫さま」な部分がたくさん見られてほくほく。表紙からしてオーラが出てるじゃないですか。ああこの子、そういえば皇族だったんだな……。
皇族や貴族だらけの華やかな舞台の裏で黒い陰謀がドロドロと張り巡らされるのがとても楽しかったです。皇位継承権、派閥、権益、そして醜聞。ううむ、これぞロマン。これぞ宮廷ドラマというもの。
しかしレジスさんは軍を動かすだけじゃなくて陰謀もお手の物なんですね。実に有能! 読書狂に死角はないのか!


アルティーナもレジスも帝都から辺境にやってきたわけですが、物語の中でふたりが帝都にやってくるのは初。
当然新キャラもたくさん登場してきました。味方も敵も、どちらか分からない人物もいましたが、それぞれ魅力的です。
まずアルティーナの前に立ちはだかったのはやはり第二皇子ラトレイユ。参謀のジェルマンと共に何やら企んでいそうな様子。今まであれだけのことをやってきておいて、表向きは友好的に接してきているあたりが既に怪しいです。
ただラトレイユはもっとこう、いやみったらしい感じだとばかり思っていたのに、人当たりが良くて爽やかにさえ見えたのは少し意外でした。信用はなりませんが。
単純に性格が悪いというより(いや性格は確実に悪いけれど)、自分の野望に忠実な人物だという印象ですね。振る舞いといい、引き際といい、決して小物っぽくはないので、これからも大きな敵として活躍し続けるような気がします。
第一皇子オーギュストや《南部の雌狐》エレアノールもそれぞれおいしいキャラでした。特にオーギュストはいい。とてもいい。


ラトレイユとの対峙を通して、改めてアルティーナは皇帝の位を目指しているのだと再確認。
当初からすればだいぶ前には進んだけれど、まだまだ道のりは長いことと思います。彼女の壮大な夢のため、レジスにはまだまだ頑張ってもらわねばなりませんね。
さて、レジスとアルティーナはもちろんですが、気にかかるのがエリックのこと。エリックの(大方の予想通りの)秘密について、レジスはどうやら気付いたようでしたね。明言はされませんでしたけれども。
今後はレジスとエリックのふたりの秘密ということになるのでしょうか。関係の変化に注目したいところです。
もちろんアルティーナとの関係も! もっともこの調子だと、恋愛方面にはしばらく行きそうにありませんが。


「前回のあらすじ」が本当に素晴らしい。他作品でもどんどん採用してもらいたいですね。特にファンタジーで。