まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

あなたが主役! 心理テストアドベンチャー ダークフェアリーの洞窟

あなたが主役! 心理テストアドベンチャー ダークフェアリーの洞窟

あなたが主役! 心理テストアドベンチャー ダークフェアリーの洞窟

ストーリー
新米魔法剣士として冒険の旅に出た主人公。
ひょんなことから、宿で出会った仲間たちとパーティーを組み、とある依頼にこたえることに。
ダークフェアリーが巣食う洞窟で、初めての実戦に挑む主人公だったが……。



作者からメールを頂いたことがきっかけで手に取りました。ありがとうございます。
読者が主人公となって、物語を読み進めながら心理テストを解いていくという1冊。今までこういったものはほとんど読んだことがなかったので新鮮な気分でページをめくりました。
小説が本体で心理テストはおまけ要素的な感じなのかと思っていたのですが、予想以上に心理テスト分が多かったですね。だいたい半々くらいですか。
まずお話の方ですが、簡単に言えば主人公である読者が冒険に出て、仲間と出会って、妖魔の潜む洞窟を攻略していくというもの。
ページ数自体多くはないし、心理テストもあるので内容としてはわりとあっさりしてました。個人的にはもうちょっと、盛り上がりやメリハリのあるお話を期待していたのですけれど。
ただ、恐らく本来のターゲットである小〜中学生あたりの女の子(何しろ主人公が女性なものですから)でも簡単に読めるような、読みやすい物語ではありました。
主人公(つまり私ですが)が魔法剣士というのが、また夢があっていいですよね。今回はほとんど魔法ばかり使っていたような気もしますけど。剣技の方も少し見せてほしかったところ。


小説と心理テストのドッキングは興味深い試みであったとは思いますが、難点もちらほら。
まずは主人公の性別ですね。私はやはり男ですから、ラックスに対する台詞で告白めいたものを選ぶことはちょっと厳しいです。
もし読者が女性であっても、たとえばラックスよりもクルトの方が好みの方もいるでしょうし、こういった恋愛要素が入った選択肢は難しいなと思います。
次に、物語の中で唐突に心理テストが入ってくるということ。こればっかりはもうどうしようもないのでしょうが、やっぱりバトルの最中などで話の流れが急に途切れてしまうのは少々もったいない。
また、心理テストになっている部分がストーリー上で結構重要に思えるようなときに、その後の展開で全くそれについて触れられないことも気になってしまいます。たとえば最初の心理テストでオカリナを選んだとしたら、その後のお話でオカリナが伏線やキーアイテムになっていてほしいわけです。
もちろん読者がオカリナ以外を選ぶ可能性がある以上、言っても仕方のないことなんでしょうけれども。
さらには、心理テストで選択肢を選ぶときに、つい物語的に盛り上がりそうなものを選んでしまうという問題もありました。
心理テストなのだから自分が取りそうな行動や言いそうな台詞を選ぶべきなんでしょうが、小説好きの性というべきか、「この場面ならやっぱりこう行動すべきだろ」とか、「この主人公ならこの台詞を言ってほしい」とか、そういったことで選択肢を選んでしまいがちでした。これじゃ心理テストになりません。
どれも作品の構成上避けては通れないことですが、もし次があるのなら、どうにか改善できないものでしょうか?
ともあれ、心理テストなど小中学生の頃にきょうだいとやって以来でしたので、その点では久しぶりに楽しませてもらいました。
また機会があれば、ぜひ試してみたいと思います。クルトとモリーの今後も気になることですしね。


イラストは藤生みどりさん。枚数はかなり多めで豪華でした。
しかしこの主人公、ちょっと美形すぎて私とは似ても似つきませんね!


某心理テストで「部分や服に興味ある、フェチズム派」と出たわけですが。……合ってる。