まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

やがて魔劔のアリスベルⅢ 熾る不死鳥

ストーリー
ビビの頑張りで、遂に全て揃うこととなった鳳の欠片。
各々の思いが交錯する中、あらゆる願いを叶えるという伝説の存在『鳳』が蘇る。
ところが鳳は、思いもしなかったことを貘たちに告げ……。



鳳凰戦役がとりあえずの一段落。集めなければならない欠片は64個もあったのに、たった3巻で鳳が蘇ってしまうというのは予想外でした。やっぱりこの展開の速さは魅力ですよね。
欠片をめぐる戦いといい、静刃とアリスベルの恋愛といい、正直かなりまどろっこしく感じていたところだったのでこの急展開は大歓迎でした。
バトルもラブもぐっとテンションを上げてきて、いい具合に方向修正してくれたと思います。


鵺があまりに強大すぎて、仲間がばったばったと倒されていく苦しい状況が続きます。
仲間に相談もせず、単独で鵺と立ち会ってみせたビビは格好良かったです。魔法少女としての矜持を感じさせてくれました。
しかし彼女以外のヒロインはなんともあっけなく……。鳳への願いがあるとはいえ、あんまり気分のいいものではありません。
嫌なムードが立ち込める中、それを打開してくれたのはやはり静刃。そう、主人公というのは窮地に立たされたときこそ本領を発揮するものですからね!
覚醒した静刃は、今まで以上にはっきりと「強い」と思わせてくれる戦いぶりでした。まあ、あのワイルドな口調はちょっと空回り気味にも思えますけど。
それから、瑠姫は実にいいところを持って行ってくれましたね! MVPクラスのいい仕事でしたが、これはずるい。やってくれたのが瑠姫っていうのがまたずるい。軽く忘れかけていてごめんよ。君はできる子だと信じていたんだ。ほんとですよ。


あれだけのバトルを演じた後にこの全力のラブコメを用意してくるあたり、まったくさすがとしか言いようがない。
ああ、貘の邪魔さえなければ、静刃とアリスベルはこんなにも簡単に恋心を交わすことができたのですね。この恋も結局は貘の力となってしまうのだと思うとなんとも切ないけれど。
いや、たとえ一時的なものにしても、ここまでたどり着くことができたのは進歩です。もちろん読者としてはこの先を期待してしまうわけですが、そのような機会が次にやってくるのは、さて、いつのことになるのやら。
と、てっきり恋愛方面の描写で終わるのかと思いきや、最後の最後にこんな爆弾を置いていってくれるんだから本当に油断ならない。クチナシの香りの彼女。
まさか直接登場してくるとは思っていませんでしたが、某作品のファンとしては、これからの展開に否が応にもわくわくせざるを得ませんね。次も楽しみです。


次巻ではまさか、閏月戈さんが彼女を描いてくれるのでしょうか……!