まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ツルツルちゃん

ツルツルちゃん (NMG文庫)

ツルツルちゃん (NMG文庫)

ストーリー
幼なじみの先斗町未来に振り回されてばかりの人生を送ってきた高校生・円山映一。
ある日未来は、映一が密かに思いを寄せる兎実ふらの手帳を拾う。
超のつく潔癖症の未来は、その手帳の内容に「いらいらする」とわめきだして……。



作者からメールをいただいたことがきっかけで手に取りました。ありがとうございます。
まずひと目見て「なんじゃこりゃ」。金髪美少女が黒髪美少女の頭にカミソリを当てている表紙とぶっ飛んだタイトル。とりあえずかなりのインパクトがあることは確かですけれども。
あらすじからもよく分からなかったので読んでみることにしたのですが、結局読んだ後の感想もさほど変わりませんでした。なんじゃこりゃ。


物語を引っ張るのはふたりのヒロイン、未来と兎実さん。彼女たちに主人公を初めとした周囲の人々が振り回されていく形でお話が進んでいきます。
序盤は未来の独擅場。兎実さんの手帳を拾って中身を見るどころか、全部それを書き写すように映一に命じるなど、無茶苦茶な言動はメインヒロインといえど目に余るほどでした。
まあ、幼なじみの映一に対する無防備さや、ふと我に返って顔を赤らめる様子などは結構可愛らしかったです。美少女ってずるいですね。全部許したくなっちゃうもんね。
手帳の中身が明らかになっていくにつれて、兎実さんの本性も次第に白日の下へと晒されていきます。
最初から怪しいところのあるキャラだとは思っていましたが、この方向性はちょっと予想外でした。ううむ、笑顔が怖い。
あからさまにおかしいけれど、まだ理解できなくもない未来の行動。表立ってはいないけれど、知れば知るほど不審な兎実さんの行動。
両者の行動が絡まり合ってどこへ向かっていくのか、さっぱり分からない状況にドキドキさせられました。
しかしこの期に及んでまだ兎実さんに固執している映一はちょっとどうかと思います。現実を見ろ! 未来の方が可愛いだろ!


狂いまくった物語がどこへ落ちるのかとワクワクしながら読んだのですが、正直だいぶ無理やりなエンディングだったように思えます。
もしかしたら最後までインパクト重視だったのかもしれませんけど、もうちょっと論理的に、分かりやすく解答を提示してほしかったですね。結局読み終わった今でも、兎実さん関連を中心にいくつも疑問が残っています。
この事件を通して映一の気持ちにどのような変化があったのか。ラストで少し語られていますが、そこが最重要ポイントになってきそうです。
あとがきによれば続きも出てくれるようですし、内面の変化に合わせて未来との関係も変化していくことに期待しつつ、次巻を待とうと思います。


イラストは吉田誠治さん。ビジュアルでもやっぱり未来が好きですね。
表紙で少し笑っている口元がどこかエロティック。


自分のクラスだけカバディをチョイスしたことに果たして意味はあるのか。クラス対抗とはいったい……。