まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

ストーリー
『ダンジョン』と通商される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市オラリオ。
女の子とのロマンスを求めて冒険者になった少年ベルは、ある日美しき女剣士に命を救われる。
彼女の情報を得るため、ダンジョンを運営管理する『ギルド』へと駆け込むベルだったが……。



第4回GA文庫大賞<大賞>受賞作品。ずっと気になっていた作品だったので、知り合いから薦められたのをきっかけに読んでみました。
いやあ面白かった! ダンジョン、冒険者、モンスター、剣に魔法と、ワードだけ並べると純然たるファンタジーなのですが、【ステイタス】としてLvや『力』や『敏捷』といった数値が設定されているあたりにはゲーム的な要素もうかがえますね。
ステイタスが設定されていることの何がメリットかといえば、やっぱり主人公の成長が分かりやすいこと。素人にちょっと毛が生えた程度の冒険者でしかないベルが、少しずつ強くなっていってより強力なモンスターを倒せるようになっていく姿に、胸が熱くなります。
神様とファミリアという設定を用いて、ゲーム世界ではないのだけれど自然にこういったゲームっぽい要素を埋め込んでいるあたり、上手いなあと思いました。


ベルは可愛らしい主人公ですね。いや男なんですけど。可愛らしいという表現が似合う。
田舎から出てきて、ダンジョンで女の子と出会うという夢のために考えなしに冒険者になっちゃうような少年ですが、遂に出会った憧れの君に近づくためにひたむきに強くなろうとするその姿勢は見ていて応援したくなってきます。
基本的に真面目だし、優しいし、無邪気だし、そりゃこんな少年が一生懸命に頑張っているのを間近で見ていたら、ヘスティアじゃなくても何かしてあげたくなっちゃいますよね。
ヒロイン候補は今のところ4人ほど。筆頭は主神ヘスティアですけど、シルさんも捨てがたいし、いやいやエイナさんだって素敵だし、未だまともに話せてさえいないとはいえアイズはやっぱり魅力的だし、あれ、なんだかんだで結構な美少女たちと出会ってるじゃないですかベル君ったら。
しかしこうやって並べてみると、みんなベルのことをお世話したり助けたりしてくれるお姉さんという感じですね。こういう少年ですから、頼るというよりは頼られたい女性が心をくすぐられるのかも。


スキルや武器のおかげでぐんぐんと成長を続けるベル。女の子とのイベントもさりげなく順調にこなしているし、なかなかにあなどれない主人公だと思います。
気になるのはアイズのことですかね。ベルが「一方的に想っている」と思っている一方で、彼女の方にも少しベルのことを気にかけるような様子が見られましたが、今後ふたりの間に進展はあるのでしょうか。
もちろん、ヘスティアとの間の絆や、もしかしたら恋愛方面での変化にも大いに期待しています。


イラストはヤスダスズヒトさん。素晴らしいのひと言ですね。
各章の扉絵が、章タイトルのフォントと合わさって面白いデザインになっていました。


ううむ、やわらかそうである(口絵を舐めるように凝視しながら)。