まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

RDG レッドデータガール はじめてのお使い

ストーリー
熊野古道で暮らす中学3年生の泉水子は、進路のことで戸惑っていた。
アメリカにいる父親が、いきなり東京の高校を泉水子に薦めてきたのだった。
そんなある日泉水子は、昔会ったきりの幼なじみ・深行と再会するのだが……。



アニメを見て原作が気になったので、イラストつきの新装版を手にとってみました。
巫女や山伏、精霊といった古き日本のものたちを描いた、ゆったりとした和物現代ファンタジー。
ひとつひとつ綺麗でやさしく染み入るようなことばの遣い方が印象的な作品でしたね。登場人物の台詞までがみんな丁寧で、少し仰々しくも感じるけれどそれが作品の雰囲気を形づくっているように思えました。


主人公は山の中深くの神社で育った気弱な少女・泉水子
この子がまあなんといいますか、たいへんに見ていてじれったい子でした。いらいらさせられたことも一度や二度ではありません。
とにかく変わることを恐れて、かたくなに自分の知る場所から出ようとしない。外からやってきた深行のことも(深行からの扱いのひどさもあったとはいえ)自分の前から退けようとする。
周りとは違う育ちや少し特殊な体質から来るものなんだとは理解できますが、そばにいて深行がいらついてしまったのも、さもありなんといったところ。
しかし東京へ修学旅行に出たり深行とふたりで抜けだしたりして新しい経験を得ていくうちに、そんな泉水子の気持ちにも少しずつ変化が生まれていくさまは微笑ましい。
特に深行との関係は、この先を色々と想像したくなってしまうものでした。泉水子の方もそうですが、何より深行が同じ境遇の泉水子に対して次第に態度を軟化させていくのに思わずにやにやさせられます。なんの気なしに女の子の手を握ってしまえる深行くんはできる男の子。


この終わり方からすると、物語の本番は次回からのようですね。
ようやく外へ出て行く決心をした泉水子は、これからどのように彼女の人生を歩んでいくのでしょうか。
姫神のこと、お母さんのこと、相楽の思惑など、謎も多く残されていることですし、それらが明かされていくことにも期待しています。
できればアニメと同時進行くらいで読めていけたらと思っています。アニメのどこまでが2巻の内容なのかは分からないけれど、そろそろかな。


イラストは岸田メルさん。アニメのキャラクター原案も担当されていますね。
いや、もう何も言えません。泉水子の立ち姿に惚れ惚れ。


あまりに分かりやすすぎる美沙みたいな子、嫌いじゃありません。