まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

変態王子と笑わない猫。6

ストーリー
年末の修学旅行で横寺と一緒の班になったのは、小豆梓と天敵・副部長だった。
一方、学年の違う月子はのけもの扱いに拗ねまくり、魔王ポイントをどんどん貯めていく。
波乱の予感をいくつも抱えつつ、高校生活最後の旅行に出る横寺だったが……。



1年ぶりの新刊にして通常版表紙がなんと副部長! 甘えんぼ月子ちゃんの上目遣いに負けて特装版の方を貼っちゃったけども! とにかく待ってました!
表紙とあらすじからなんとなく予想はできていましたが、ここにきてまさかの副部長のターン。最高。最高です。
いやあ、密かに副部長推しだったんですよね! もちろん本命は月子ちゃんですけど、副部長もサブキャラのままにしておくにはもったいないヒロインだと思っていたのですよ。ツンデレの下僕としては。いえ、彼女の場合はツンデルでしたか。
念願の本名までようやく明かされて、私すっかり上機嫌でございます。いやあ、嬉しいな。


月子ちゃんも小豆梓も、横寺へのアプローチにためらいがなくなってきましたね。
「一番」をキーワードに攻めまくる(そしてそのわりに攻められると弱い)月子ちゃんはもう三日三晩撫で回したいくらいに可愛いし、横寺ラブをもはや隠す気もなく天真爛漫にひっついてくる小豆梓も天使と見まごうばかりの愛らしさ。ああ、こりゃ選べないわ。罪作りな王子さまですわ。
困ったことに、どちらも放っておけない系のヒロインなんですよね。たいへん危うい状況です。横寺の生き方が呼び寄せてしまったものなんですが。
まだ横寺を引っ張り合うくらいで済んでいるけれど、将来もし選択を迫られることになったらと思うと空恐ろしい。寄りかかっていたものがなくなってしまったときに女の子がどうなってしまうかなんて、考えるだけでも嫌です。横寺のことだから、そんな展開は選ばないかもしれませんが。


男女の入れ替わりイベント、それはラブコメの王道。表面上は相変わらず刺々しいのに、横寺の体を得てやたら楽しげな副部長が実に微笑ましい。
お互いに相手の立場を羨ましいと思ったから起こってしまったわけですが、一本芯が通っているように見えた副部長にも、意外と普通の悩みを抱えていたのですね。少しほっとしてしまいました。どうしよう、副部長株がどんどん上がっていくのを感じる。
一方で横寺も、それなりに今の状況に頭を抱えていたということなんですよね。地の文の横寺は基本的にあっけらかんとしているので分かりにくいんですが、変態王子だって悩むんです。そりゃ悩むよなあ。
お互いの立場を経験して、自分を外から見つめ直したことで、ふたりとも気付くことがあったようで何よりでした。猫像もたまにはいいことをしてくれます。結果的には、だけれど。
それにしても横寺と副部長のやりとりは本当に楽しいですね。会話の楽しさだけで言えば作中トップのコンビかもしれません。今回で距離も少し縮まったことでしょうし、今後もどんどん話に絡んできてくれると嬉しいですね。


うん、横寺くん超格好良い。格好良いけど、毎度ながら女の子のために身投げを厭わない主人公だなあ……。
変態王子」としては実に「らしい」はたらき方で、一種の感動さえありましたが、そりゃ、月子ちゃんや小豆梓からしたら嫌だろうなと思います。副部長やほんわかさまのおかげで救われたような気もしますけどね。
次は逃げ出したあの子のお話になるのでしょうか。物語全体の着地点を左右しかねない重要イベントの予感がします。楽しみ。


4月からのアニメに期待が高まる! ドラマCDを聴きつつまったり待つことにしましょうか。