まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズ9 to The DarkSky

ストーリー
遂に夜光としての力を覚醒させた春虎。
だがその代償は大きく、暴走する『鴉羽』から春虎を庇った夏目はその命を落とす。
動揺する春虎は、泰山府君祭なら夏目を生き返らせられると鈴鹿に詰め寄るが……。



第一部の完結編ということで、もうこれ以上ないくらいの期待をもって読んだのですが、その期待にしっかり応えてくれました。
いやあ、凄まじく面白かったですね。もうそれだけでいいんじゃないかな……。
敵味方合わせて何人いるのか分からないけれど、ほとんどの登場人物に見せ場があって、無駄なキャラがいないと思わせるあたり、お見事としか言いようがない。
そのおかげもあって密度がたいへんに濃い! この分厚さでも作中時間では1日半ほどしか経っていないのですから、大したものですよね。


前巻ラストの展開にはさすがに驚きましたが、メインヒロイン街道を堂々突っ走っていた夏目さんがこんなところで脱落するわけがありません。してほしくありません。
ということで今回は大切な女の子を取り戻すためのお話でした。夜光の生まれ変わりがどうとか、陰陽庁と対抗勢力との正面衝突とか、色々ありましたが、結局はここに集約されると思います。
いいですね。未熟な塾生たちが一歩踏み出して、トップの陰陽師をことごとく巻き込んだ大騒動へと発展していくこの感じ。
友達の女の子ひとりを救うために、深い闇の世界へとどんどん飛び込んでいく少年少女の姿には、熱くこみ上げてくるものがあります。
正統派ヒーローものなら、まっとうに光の当たる道を歩いていくのでしょうが、やっぱり陰陽師なら夜と闇を背負ってこそ格好がつくというものですよね。こう言っちゃなんですが、小暮さんよりも大友先生の方が数倍魅力的じゃないですか。そういうことです。


毎度ながらやらかしてくれた大友先生をはじめ、鏡に宮地といった十二神将たちがここぞとばかりに暴れてくれました。一流同士の戦いはやはり派手で見応えがあります。特に今まで名前が出てきつつも謎だった宮地の戦いぶりにはテンションが上がりましたね。
一方で春虎たち陣営も負けていません。夜光として覚醒しつつある春虎はもちろんのこと、今まで戦力としては地味な方にいた京子と天馬の活躍には、目を見張るものがありました。天馬が活躍できた理由を思うと少々彼が不憫にも思えてきますけど……いや、前に踏み込めたことにこそ意味があるのだと思いたい。
そして誰よりも最高だったのはコン。隠された力が解放される王道パターンは、何度やられてもたまらなく震えます。彼女こそが今回の主人公だったと言っても過言ではないかもしれませんね。


夜光の風格が備わり、いよいよもって本格的に陰陽の道へと入っていった感のある春虎。今後は彼を中心として全てが回っていくのだろうと思います。
これだけ盛り上げておきながら、あとがきでは「まだまだ本番はこれから」なんて書いてくれちゃっているので、後半がどんなことになってしまうのか今から恐ろしいですね。「大物連中」の「ガチバトル」、期待しています!
次は短編集ということで、暴走する夏目さんや、すっかり愛玩キャラと化した鈴鹿とのドタバタが楽しみなところ。首を長くして待ってます。


アニメは何巻までやるつもりなんでしょうか。ここまで見たいなあ。厳しいだろうなあ。