織田信奈の野望10

織田信奈の野望 10 (GA文庫)

ストーリー
窮地を脱し、いったん膠着状態となった播磨戦線を離れる良晴。
だが、かつて和睦した本猫寺で政変が起こり、織田家と敵対関係になってしまう事態に。
本猫寺を止めるため、近衛を脅しつけ和平の使者として向かわせようとする信奈だったが……。


ひとつの戦が終わったらまたひとつ戦が始まる。戦国時代ですなあ。
戦自体は読んでいてハラハラするし、一気に読めてしまうんですが、今回はそこまでの流れにあんまり関心が持てなくて読み進めるのに苦労しました。あ、スク水温泉は除く。
新キャラの氏郷はともかく、一益ちゃんはかなり好きな方のキャラなんですけどねえ。やっぱり十兵衛ちゃんや半兵衛ちゃん、長秀さんや犬千代といった好みの大物キャラが他にあまり出てこなかったので、いまいち乗りきれなかったのかなと思います。
あと、やたら続く会話文が妙に説明口調だったのも気になりました。こんなもんだったっけ？


完全に私の中で悪役としてインプットされていた近衛ですが、別に私欲のためだけではなく（もちろんそれもありますが）、意外とやまと御所に尽くす人物らしいことがここにきてようやく分かってきました。
さんざん裏でやらかしてくれた近衛と津田が、ちょっとばかし論戦をしたくらいで信奈の手駒になってしまったのには少々違和感を覚えずにはいられないけれど、まあ陰謀がバレた以上は仕方ないのかなとも。
近衛が来たことで一益ちゃんの正体が明らかになり、氏郷の態度も相まって信奈陣営は一気に険悪ムードに。他の家臣がいればまだ良かったものを、皆は各地で巻き起こる一揆に対応中。このあたりは本当に、読むのがしんどかったです。
氏郷の言い方には正直腹が立ちました。しかし信奈の天下布武のために、良晴の存在が壁となってしまっていることもまた事実なのですよね。


戦いが始まってからの展開はまさに怒涛でした。そしてこの終わり方は卑怯！
今まで良晴が担ってきた選択を、ついに信奈自身が行うことによってのこの展開はたいへんに胸を打ちましたが、一方でこの瞬間、信奈以上に気がかりな女の子がここに。
ああ、もはや私の目には十兵衛ちゃんしか映りません。困ったものです。信奈の恋も心から応援しているはずなのに、彼女の気持ちを思うと他のことが考えられなくなります。さらには、まさかこれが原因で本能寺に？　などと、嫌な予感までがついて回ります。
十兵衛ちゃんをはじめ、信奈の決断を目にした全国の人々は何を思い、どんな行動を取ることになるのでしょうか。
満を持しての登場の気配を見せた越後の軍神にも期待しつつ、次巻を首を長くして待ちたいと思います。


十兵衛ちゃん光ってる！　光ってるよ！　おでこが！