まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔法少女育成計画 restart(後)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

ストーリー
協力してエリアを解放し、遂に魔王城の中枢にたどり着いた魔法少女たち。
そして明かされる衝撃の事実の下、囚われの魔法少女たちによる生き残りゲームは激化していく。
残酷かつ一方的なルールの中で、少女たちは迷い、戦い、一人また一人と命を落とす……。



まさか最初のページから背すじを凍らされるとは思ってもみませんでした。えぐいことしてくるよな! 毎度のことだけど!
ということで解決編なんですが、まあしかし、「お見事」のひと言です。ゲーム世界でのミステリーも面白いものですね。
ゲーム内に厳然と存在するルールに逆らわずにトリックを用いる方法。登場人物たちの不可解な行動の裏にあるもの。そして次第に明らかになってゆく裏切り者の存在。
二転三転する状況に逐一騙され、踊らされ、驚かされてしまいました。大きく動き出してからの畳み掛けが素晴らしい。
結局私はラスト直前まで「魔王」に気付くことができなかったのですが、分かった瞬間に衝撃が走りました。いやはや。


お気に入りのプフレ&シャドウゲールのコンビは解決編でも大活躍でした。嬉しい。
名探偵というには少々手遅れに過ぎる感もありますが、それでもプフレの冴え渡る推理力は見ていて気持ちいいものです。するとシャドウゲールは探偵助手ですか。ろくに考えを明かされぬまま“お嬢”の指図に従う様子はまさにそんな具合。
お互いにそれぞれ友情関係を結びつつある魔法少女たちですが、その中でもこのふたりはやはり格別でしたね。特にプフレがシャドウゲールへと向ける理屈を超えた信頼には胸が熱くなりました。シャドウゲールだって脳内では愚痴と悪口ばかりだけれど、実は全部愛情の裏返しなんじゃないか、なんて思わず妄想してしまいますね!
後編に入ってすっかり主人公然としてきたふたりですが、もちろんそんな彼女たちだからこそ、裏切り者の可能性を消しきれないということでもあります。
完全にキャラを信用してはいけないことは分かっているつもりなのに、つい気を抜いてしまうから、グッとこらえて気を引き締めて、疑いの目を向ける。……なんてことをしていると綺麗にその裏をかかれるんだからたまったもんじゃありません。作者の術中にはまっている!


ペチカやラズリーヌ、リオネッタなどなど、多くの魔法少女が、予想を超えるもしくは予想外の長所、格好良いところを見せてくれました。もちろんそのほとんどが、ああ、その命を散らしてしまうわけですが……。
描かれすぎて少々希薄になっているとはいえ、キャラに愛着が湧けば湧くほど、やはり悲しみは大きくなるものです。
魔法少女側も、そしてマスター側の結末も、後味はたいへんに悪いものでしたが、正直胸のすっとする部分もあったのは、ちょっとした救いですかね。
文句なしの面白さでした。さらなる続きがあるのかどうかは分かりませんが、続刊にしろ次回作にしろ、楽しみに待ちたいと思います。


軽くホラー入ってるリオネッタさんのイラストが大好きです。