まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

メイド様の裏マニュアル トラブル2:アイツが囚われの姫になった場合

ストーリー
ある日、物部家の極秘書類が紛失し、なぜかツギハが盗人として疑われてしまう。
縛りあげられるツギハと、名探偵のごとくツギハを追求する許嫁のスイカ。
ツギハを信じるトージは、濡れ衣を晴らすべく、新たなクエストに向かうが……。



2巻にしてまさかの最終巻(たぶん)。限られたページで話をまとめるためか、怒涛の勢いで伏線回収がなされました。
それがまたなかなかの盛り上がりだっただけに、あと数巻あればもっと丁寧に描けただろうにと、少しもったいなく思います。
1巻でメインだったクエストも、今回は大した困難もなく終わってしまって残念。
世界塔が……という話になったときは、思わず「え、もう?」と口に出しかけました。バラエティ豊かなクエスト攻略が結構好きだったので、もっと色んなクエストを見たかったですね。


最初からミステリー風味のストーリーでテンションが上がります。密室ですよ密室!
名探偵ぶったスイカさんがやたら嫌味なキャラになってましたね。調子に乗った探偵役とはここまでうざったいものなのか……。
1巻のときは確か、どちらかと言えばスイカ派だったような気がするのだけれど、さすがに少し考え直さざるをえない。逆にトージの器の大きさに感服してしまいますね。まあ、ツギハみたいな子をメイドで雇っているくらいですから、当然といえば当然なんですが。
一方、縛られても平然とどうでもいい愚痴をこぼすだけのツギハの図太さはぜひ見習いたいところです。そのせいで危機感はまるでありませんでしたけども!
むしろトージの方が本気で焦っていましたね。いつもツギハをいじめている印象のトージですが、なんだかんだでツギハのことを大切にしていることが分かって、温かい気持ちになりました。主従愛。


世界うんぬんについては、話がいきなり大きくなりすぎてちょっとついていけなかった感じも。
ツギハやマロンドについてのあれこれの謎が次々と明かされていくのは気持ちよかったです。あと、ちょいデレカナセが可愛い。
エンディングへの持っていき方には、なるほどと唸らされましたが、やっぱり話が一気に飛びすぎていると思うんですよね。ページがないんだから仕方ないんですが。
いまいち分からない、もしくは飲み込めていない謎も残されていて、すっきりしたようなしてないような、微妙な読了感でした。終わり方自体は素敵でしたけどね。
ニヤの能力についてとか、もっと掘り下げて描いてほしいところもいっぱいあります。やっぱり、せめてあと1冊は欲しかったよなあ!
ともあれ、個人的に応援している作者さんでもありますし、次回作に期待しています。


実家の本棚を漁って、若草ひかるが前作のキャラだったということに気付きました。さすがに忘れてたよ……。