まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

黒鋼の魔紋修復士5

ストーリー
アーマッドが誇る“筆頭神巫”シャキーラの里帰りのため、護衛に就く封印騎士団。
その中には、紋章官になる前のディミタールの姿があった。
周囲の団員にやっかまれながらも、任務をこなしていくディーだったが……。



シリーズ初の短編集でした。収録されているのは3編。
短編とはいえ、どれも本編に大きく関わってくる重要なエピソードばかりだったように思います。


『永世神巫と落第騎士』はディミタールが封印騎士団を除名とされた理由を描いたお話。
永世神巫シャキーラさまがようやく本格的に登場してくれました! 表紙にも描かれていますが、うむ、素晴らしい美貌でございますな。
見た目は美少女、中身はン十歳、おちゃらけているようで達観したような気持ちのよい性格と、何より最高の魔法の才能の持ち主であるということ。もはや彼女主役で外伝シリーズを出してほしいくらいの魅力溢れるキャラですね。活躍はあれど本格的に魔法を使う場面はほとんどなかったので、これからに期待。
それにしても、この騎士団の腐敗具合がひどい。今までもなんとなく、騎士団の駄目な部分は指摘されてきましたが、その内容が具体的に描かれたのは初めてです。
こんな状態じゃあ、そりゃイサーク殿下だって騎士団を改造したくなるよなと思わされました。大物の子弟がつけあがるのはよくあるパターンとはいえ……いやはや、なかなかに胸くそ悪い。
あと、ルキウスさんがディミタール大好きすぎてなんか微笑ましかったです。もうこのカップリングでいいんじゃないかな(投げやり)。


『蜜月の終わり、雨の日に』『花々の宴、夏の日に』は続きもので、4巻の後のお話。ほぼ本編と言ってもいいんじゃないでしょうか。
ヴァレリアにも出番はあるものの、どうにも目立っておらず、ルキウスたちやベッチーナの方が主役っぽかったですね。
あと、ずっと名前だけが出てきていた王妃が登場しました。愛人にうつつを抜かしている国王から放っておかれて不憫なお方という印象があったのですが、本人はとても明るい様子で何より。ヴァレリアとのやりとりも良かったし、今後もどんどんストーリーに絡んできてほしいですね。
ベッチーナのイサークへの淡い想いが素敵でした! すっかり皇太子のお気に入りになってしまったようですし、もしかしたらもしかするのかも。
感情表現が大きいベッチーナは見ていて楽しいキャラです。今後も短編など出る機会があるなら、ぜひまたベッチーナ押しの話を読んでみたいところ。


結局、バチュルルスはずっと脱がない予定なのでしょうか……。まあ、脱がないなら脱がないで妄想がはかどるんですが、でも見たいものは見たい。