まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕は友達が少ない ゆにばーす(2)

ストーリー
理科のセッティングで、大好きな作品『生徒会の一存』の作者と会うことになった小鷹。
ところが、面談場所に現れたのは待ち望んだ杉崎鍵ではなく、見知らぬ男だった。
困惑しつつも、男に確認を取る小鷹だったが……。

前回の感想で「第2弾があるといいな」とか書きましたが、まさかほんとに出るとは思いませんでした。本編よりも刊行が早いってどういう……いや、勢いがあっていいと思います!
さて、そんな今回も前回に負けず劣らずの超豪華執筆陣。ちょっと間違えたら半額弁当を奪い合ったり農林高校にアイドルがやってきたりしてしまいそう。レーベルを超えてイラストレーターとのコンビを見せてくれるというのは、両方のファンからするととても嬉しいですね。
内容ももはやなんでもありの様相を呈していましたが、これだけ無茶苦茶やられてもびくともしない懐の深さもまた、この作品の魅力ではないかと思います。


アサウラ先生の作品「鳥と豚」。小鷹が某作品の脇役たちと唐揚げを食べる話。
これだけ美少女が揃っているのに男しか出さない冒険心、嫌いじゃない。小鳩ちゃんのイラストが素晴らしかったからそれでいいんだ……うん……。
ノリが完全に某作品でした。半額弁当は出ませんけど。ギャグの内容もキャラの変態度も、そして読むとおなかが減るのもまったく一緒です。小鷹さんが友達に飢え過ぎていて目頭が熱い。


あさのハジメ先生の作品「俺たちにはまだちょっとレベルが高い」。隣人部でボウリングをする話。
夜空の星奈の対立とか、ひとり暴走する理科とか、内容的には今回のラインナップ(※原作者含む)の中で一番「らしかった」ように思います。
理科の、幸村の扱い方を見ると、時系列としては本編序盤の方の内容になるんですかね。まあ大した違いではないんですけど。


岩波零先生の作品「理科のせいで俺の様子がおかしい」。小鷹が本能に目覚める話。
全編通して理科のターンでしたが、会話ギャグのテンポがとにかく楽しい。ツッコミとボケが入れ替わった小鷹と理科のやりとりはとても面白かったです。エロネタにたじたじになる理科もなかなかに可愛らしいですね。
あとがきに書いてある方の短編も読んでみたい……。


白鳥士郎先生の作品「部長選挙」。星奈と夜空が隣人部の部長の座をかけて選挙に挑む話。
まさかのイラスト芸に噴かざるをえない。自由だな!
星奈がひとりで空回りしているのが、いかにも隣人部という感じで妙に安心しました。誰か慰めてあげてよ。


鏡貴也先生の作品「伝説の小鳩の伝説」。小鳩がひたすら夢を見る話。
いっそこれでスピンオフ1本行けるんじゃないかと思いました。小鳩はそれくらいのポテンシャルを秘めたキャラですよね。
イラストのレイシスさんが素晴らしすぎて何も言えない。


平坂読先生の作品「『鍵』」。『生徒会の一存』とのコラボ企画短編です。
前回もおんなじことを言ったような気がしますが、原作者が最後に現れてしかも全部持っていくのってなんかずるいよ!
キャラクターの使い方が実にテクニカルで、もうなんというか「こりゃ勝てんわ」と。何に勝つのかは分かりませんけど。
それから、このオチ。これ。とんでもない爆弾置いていきすぎ。なんでコラボ企画小説でこんなことやっちゃいますかね! 本編でやれよ!
ということで、本編を読んでいるけれどアンソロジーには興味ない、なんて方も、この短編だけは必読っぽい気がします。これだから油断ならねえ……。


イラストは表紙にみやま零さん、カラーページにみやま零さん、トモセシュンサクさん、狐印さん、榎宮祐さん。
本文イラストに柴乃櫂人さん、菊池政治さん、皆村春樹さん、切符さん、榎宮祐さん。
前回と同じく短編1本につきイラスト1枚でしたが、それぞれ魅力があって素敵なイラストでしたね。


平坂先生と葵先生のお互いの作品への愛に、ちょっぴり感動。