まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ロウきゅーぶ!(12)

ロウきゅーぶ! (12) (電撃文庫)

ロウきゅーぶ! (12) (電撃文庫)

ストーリー
五年生が入部し、初の公式戦に向けて練習に取り組む慧心女子バスケ部一同。
しかしチームワークはいまだガタガタのまま、全く進展を見せない。
そんな折、紗季の商店街主催のお祭りで、六年生と五年生に分かれて屋台勝負をすることとなり……。



一気にレギュラーの小学生が倍になってくれたおかげで、読み始めは少々頭が混乱気味でした。
いや、それぞれキャラクターは立ちまくっているから、誰が誰だか分からないなんてことはないんですけどね。名前が多いとそれだけで、場面を想像するのが少し難しくなるというだけです。
しかし思ってみれば、1巻や2巻あたりでは六年生の5人だけでも混乱していたような気がするので、たぶんそのうち慣れていくのでしょう。


前半はチームとして公式戦に出る上で避けては通れない、チームワーク問題を解決していくお話。
特に雅美から紗季へ、竹中姉妹から真帆への反発が大きかったわけですが、なんだ、こうやって比較してみると、あの真帆でさえお姉さんらしく落ち着きがあるように思えてくるから不思議なものです。もちろん彼女自身が成長しているということもあるのでしょうが。
紗季に至ってはあまりに大人びすぎていて、もう少しわがままでもいいのよと言ってあげたくなるほど。思えば紗季も、初めのうちは真帆とずいぶん角を突き合わせていたような覚えがありますが、いつの間にやら、精神的にひと回りもふた回りも大きくなっていたのですねえ。
もう作中時間でも六年生の12月ということで、卒業まで3ヶ月しかないわけですし、メンバー全員に自覚が生まれてくるのも、さもありなんというところでしょうか。
前回唐突に登場して鮮烈な印象を残していってくれた硯谷のエース・怜那は、安定の悪役ぶりを見せてくれました。
もちろんこの世界には小学生女子の悪役は存在しない(!)のですが、わざわざこうやって事件を起こしてくれるおかげで、より彼女が慧心女バスにとって「倒すべき相手」になっていっていることは確かです。結果的にそれが、チームワークを固める助けになっているのだから、皮肉なものですが。


さていよいよ公式戦開幕、と思いきや、その前に智花との夜のデートというレアイベントが発生。
個人的にはもう、ここが今回のハイライトでいいんじゃないかとさえ思えてきます。というか智花がこの場面以外であまり目立っていなかったんですよね。
他の誰でもない、智花にだけしっかりとこういったイベントを用意してくれているあたりが心憎い。やっぱり智花は特別なヒロインなのだと、改めて感じさせてくれるシーンでした。
で、なんですかね。純粋極まる智花のことばは、それはそれは素敵なものとして受け止めるとして、問題は昴さんですよね。えっと、これはプロポーズか何かなのかな? ん?
智花への思いが目一杯詰まっていることは十分に伝わりました。年の差を考えなければ、傍目から見て完璧にカップルだと思います。あとは昴本人にその先へ進む意志があるかどうかが気になるところなんですが、ううん、なかなか吹っ切れてくれないものですねえ。


遂に公式戦が始まり、初戦は因縁の相手・硯谷。
愛莉の活躍も素晴らしかったし、圧倒的な身体能力を誇る怜那に対抗してのつばひーの連携やミミのスーパープレーなど、見どころ満載ですね。
慧心だけでなく、怜那や綾、未有といった硯谷側のキャラの成長や、人間関係の変化もいいものでした。正直前回未有たちと戦ったときのことはほとんど覚えてないのですが(早く読み返さないと)、こちらも紗季や真帆に負けず劣らず、心身ともに成長を遂げていたようです。ライバル校ながら立派なものですね。
しかしまさか、こんなところで次巻に続いてくれるとは思ってもみませんでした。過去最大の焦れったさです!
おそらく、次は硯谷の逆襲から、満を持しての慧心六年生の本気の活躍が見られるのではないでしょうか。もう今から待ちきれません。早く! 早く!


昴先生は腰フェチ。