僕と彼女がいちゃいちゃいちゃいちゃ

僕と彼女がいちゃいちゃいちゃいちゃ (MF文庫J)

ストーリー
幼なじみの飛鳥井愛火に告白され、付き合うことになった由吾。
ある日、由吾は全校生徒から腫れ物のように扱われている美少女・獅堂吹雪の秘密を知ってしまう。
吹雪は、異性と触れ合わなければ発作が起きてしまうという『青春症候群』の罹患者で……。


風見周先生がMF文庫Jにやってきた！　ということで喜び勇んで手に取った今作。
タイトル通りのいちゃいちゃラブコメなのですが、とても面白かったです。
なんなんですかね。具体的に「ここがいい！」とは言えないのだけれど、なぜかのめり込んでしまうし、笑ってしまうし、ドキドキさせられてしまうんですよね。
こういう作品を読むと、ラブコメにも「上手い」「下手」があるんだなと思います。そこでいくと風見先生はやっぱり、ラブコメというものが抜群に「上手い」。
肩をよせあったり、手をつないだり、自転車の二人乗りをしたりと、ちょっとしたことから大胆なことまで、色んないちゃいちゃが繰り広げられるのですが、どれも胸にきゅんとくる、素敵ないちゃいちゃでした。


主人公に最初から彼女がいる、ラブコメとしては少し珍しいパターンのお話です。
てっきりその彼女といちゃいちゃするのかと思いきや、主ないちゃいちゃはまるで別の相手と行なわれているのですから恐れ入ります。
彼女はあくまでも愛火ですが、メインヒロインは……というと、ううむ、微妙ではあるけれど、やはり吹雪の方になるのでしょうか。
これがまた、吹雪が実に私好みのヒロインなのですよ。クール・毒舌・ドS・息を吐くようにエロ単語・そして恥じらいの頬染め。完璧。完璧です。
六連くんではありませんが、吹雪になら喜んで踏まれたいですね！　ピンヒールで！
その一方で興味深いのが主人公の由吾ですね。幼なじみといきなり彼氏彼女の関係になって、実感が湧かないというのは分かりますが、そこで他の女の子からいちゃいちゃするように頼まれてOKしてしまうあたりが面白い。
浮気ではなく、あくまで治療と割り切っているのが素晴らしいと思います。周りからそうは見えなくても、由吾からすれば浮気ではないのです。
お人好しというか、後先考えずというか。私としてはなかなか好感が持てるのですが、女子ウケはかなり悪そうな予感！


彼女から隠れて美少女といちゃいちゃなどという関係が、いつまでも続けられるわけもなく、案の定と言えば案の定な展開へ。
さて、私は吹雪と愛火、どちらを応援するべきなのでしょうか。倫理的に見れば、愛火とくっつくのがほんとなんでしょうが、かと言って実は吹雪の方を選ぶ理由がないわけでもないし、個人的にはやっぱり吹雪の方が好きなんですよねえ。
いえ、愛火も相当可愛いとは思うんですよ。幼なじみということで、どうしても慣れというハンデがあるんですけどね。それでも初めてできた彼女ということで、初々しさにグッとくることもしばしばでした。
どちらとくっつくにせよ、しばらくの間は、押しの強いふたりのヒロインに挟まれた修羅場な日常が描かれていくのでしょう。今度はどんないちゃいちゃを見せてくれるのかわくわくです。次巻も楽しみ。


イラストは高品有桂さん。アニメーターだということで、どのイラストも女の子の表情が豊かで実に魅力的でした。
目を見開いた吹雪が素晴らしいと思います。MFは毎度、いいイラストレーターを発掘してくるよなあ。


『シュレディンガーのぱんつ』は何度も思い描いたけれど、『アキレスと亀』にそんな発想はなかった。