まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ノーゲーム・ノーライフ3 ゲーマー兄妹の片割れが消えたようですが……?

ストーリー
世界第三位の大国『東部連合』にゲームを仕掛けた直後、謎の言葉を残して消えてしまった空。
ステフやジブリールの記憶からも兄の存在が消えていることに、白はすっかり取り乱してしまう。
ステフの言葉をきっかけに立ち直った白は、わずかな手がかりから空の真意を探ろうとするが……。



面白かった! ああ、面白かったですとも! 読んでいるときはあれこれ言いたいことがあったはずなのに、終わってみれば面白かったという印象でいっぱいなのだから、これはもう白旗ですよ。少々悔しいけれど仕方ない。
読んでいるときはやっぱり、結構疲れるんですね。この独特の文体は、慣れたとはいえまだ目がチカチカするし、やっぱり頭脳バトルですから、どうしても論理のあら探しをしてしまうし、そもそも理屈がいまいち理解できなくて考えるのを放棄しちゃうことなんかもあるし。
ツッコミどころは、今回もいっぱいあったと思います。たとえばどう考えても引きこもりの身体能力じゃないだろとかね。
でも、この主人公兄妹を見ていると、そんな些細な疑問なんてどうでもいいやと思えてきます。だってなんでもできてしまいそうなんだもの。もうそろそろ体ひとつで宙とか飛べちゃうんじゃないですか。なんかこう、物理的に超精密に計算したら。どうにか腕とか足とか動かして、こう。


前回のあの引きから続いて、空の消失の謎を解明していく第一章。
記憶もなくし、何もかも分からないという状態から、消えた兄の真意を導き出してゲームに打ち勝つ白のこのハイスペックぶり。どういうことなの。
さらに遡っておかしいのが、白なら答えを出してくれると信じてこんなゲームを仕掛けた空の、狂信的とも言える妹への信頼ですね。一心同体などと言うのは簡単ですが、何がこの兄妹をここまで結びつけているのでしょうか。今回は兄妹の出逢いについても少し触れられましたが、天才同士だけが分かる何かがあったんですかね。
いつもふざけている姿ばかり見せられているから、たまにこういう、真面目に狂っている中身を垣間見ると、背すじが震えてしまいますね。


『東部連合』とのガンアクションゲームは、非常に楽しかったです。
目立って凄まじい活躍を見せてくれたのはやはり白ですね。体を使うゲームを頭脳で攻略しちゃうんだから、対戦相手としては「そんなんありかよ」という感じでしょう。
ただ、その圧倒的な白の能力をもってしても、それだけでは勝てないというのがまた面白いところ。
どうしても計算で押し切れないところで、空の心理的な駆け引きによって相手に隙を作り、最終的に勝つ。『  』がどうして強いのかということが、改めてきちんと示されたゲームだったと思います。
ジブリールやステフにもしっかり見せ場があったのが良かったですね。特にジブリールは、仲間にいるだけで安心感が半端じゃない。さすがは序列第六位といったところでしょうか。
ゲーム外でも、ジブリールの従者っぷりが実に格好良くて大好きなんですよ。呼ぶと背後に転移してきてくれるところとか、地味なんですけど憧れます。有能で忠実な従者ってロマンじゃないですか。忠実だけに外部に対しては思いっきり黒いところがまたたまらないのです。


人類種の身で、また大きな戦果を挙げてしまった空と白。彼らの世界征服の計画は、さて、どれくらい進んだのでしょうか。
『東部連合』はもちろん、クラミーとフィーという大きな仲間も手に入れて、ここからのさらなる快進撃が期待されますね。
次は「ライトなノリの巻」ということで、イラスト込みでサービス満点の巻になってくれるんじゃないかと思います。楽しみ。


コミカライズは夫婦合作とか……メディアミックスまでも作者で独占しちゃうつもりなんでしょうか!