まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺はまだ恋に落ちていない4

俺はまだ恋に落ちていない 4 (GA文庫)

俺はまだ恋に落ちていない 4 (GA文庫)

ストーリー
田所の提案で島にキャンプに行くことになった赤井たち。
恵衣美、詠羅、空河に振り回されながらも夏を満喫する赤井だったが、深夜、ひとりで泣いている女性と出会う。
彼氏に振られたばかりという女性は、なぜかそのままキャンプに乱入してきて……。



最終巻。もう少し続いてくれるかなと思っていたのですが、意外とあっさり終わってしまいました。
もっと恵衣美と詠羅との三角関係を楽しみたかったです。あ、空河? うん、まあ。


田所姉妹も間違いなくそれぞれ可愛いのですが、結局最後まで私は愛子さん派でした!
“修行”と銘打ってはおりますが、これは傍目から見て完璧デートです。デートですよね。デートですとも。
完璧超人に見えて意外とあっち向いてほいに弱いという一面なども見せてくれて、もうたまりません。
ふと思ったのですが、恵衣美や詠羅は赤井を振り回しているようでいて実は振り回されているではないですか。ふらふらしているようでいて、なんだかんだ決めるところは決めてくる抜け目のない奴ですから。天然でそれをやってのけるあたりがなんともしゃくに障るんですけれども。
そんな赤井に対して、真に優位に立っているヒロインは愛子さんを置いて他にいません。いや、前巻の春子はいいとこ行ってたような気もするんですが、残念ながらフェードアウトしてしまいましたしね。
赤井のような、考えなしで行動してそれが上手く行ってしまうようなタイプには、愛子さんみたいなお姉さんがそばでビシッと締めてくれるのが、一番いいんじゃないかと思う次第なのですよ!
……まあ、赤井に愛子さんというのももったいないので、それはそれとして、愛子さんにはぜひ幸せになっていただきたいものです。はい。


赤井と田所姉妹の恋のロードの前に降ってわいた「鷹」。ライバル登場はラブコメの華であります。
いつまで経ってもうだうだと生ぬるい関係を続けやがる赤井には、いい薬になったのではないかと思うのですが、こんな状況からでも生ぬるい状況へ持って行ってしまうのが、赤井の赤井たる所以と言えましょうか。はあ。
それにしても、恵衣美の割り切り方はなかなか堂に入っていて素晴らしかったですね。この凛とした振る舞いの裏でどれだけ胸を痛めていたのかと思うと、基本的に詠羅ちゃん押しの私としても、なかなかグッとくるものがあります。
一方の詠羅ちゃんは実に彼女らしく、混じりっけのない愛らしさ。演技ができないこの純粋さたるや、いつまでもそのまま育っていってほしいと思わせる魅力に溢れております。ううん。やはり甲乙つけがたい。


それで、この結末。ぶっちゃけ、まあそうなるよなと。むしろこれしかないよなという決着でした。
本当にこの姉妹はですね。どちらの方が可愛いと思うことはあっても、どちらが勝ってほしいとか、赤井と付き合ってほしいとか、そういったイメージが全く出てこないくらい、ふたりのパワーが均等なのですね。かといって他のヒロインが彼女たちに勝てるわけもなく。
これ以上完璧な「ダブルヒロイン」には、もしかしたら、今まで出会ったことがないかもしれません。お見事でした。
赤井のことは最後まで好きになりきれませんでしたが、愛子さんをはじめ、脇役にも味のあるタレントが揃っていた作品だったと思います。そうそう、今回登場の星果や王士もいいキャラしてましたね。
人物を生き生きと動かしてくれる本文はもちろんですが、庭さんのイラストがまた素晴らしかった。このイラストがあることで、キャラに命が吹き込まれたような気がします。
本当はもっと読みたいけれど、ここで終わり。終わってみれば満足、満足でした。次回作も楽しみにしています。


愛子さんの「てんてんはか」が今回のハイライト。