まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

それがるうるの支配魔術 Game6:リライト・ニュー・ワールド

ストーリー
水那斗繋のメッセージに導かれ、レビクシの光教団の聖域に踏み込んだるうるたち。
そこは10年前の集団失踪事件の現場であり、欧文研メンバーは口封じのため教団員に追われることに。
そんな中で事件当時の記憶を追体験したタマキは、遂に隠されてきた真実に辿り着くが……。



最終巻。もう少し長く続くと思っていたのに、あっさり終わってしまって淋しい。設定上、あまり長く続けるわけにもいかなかったというのも分かるのですが。
表紙イラストが本当に素晴らしいですね。最終巻らしい儚さを感じさせる薄めの色合い。こちらへ振り返って光の中へ飛び込もうとするるうるの姿は、彼女とタマキが手を取り合い、ここから先へと進んでいくことを表しているのでしょう。思わずため息。


前巻はとんでもない引きで終わっていたわけですが、今回は最終巻ということで、1冊丸ごと使ってのレビクシ事件の解答編。それはすなわち、このシリーズ全体の謎への解答編ということでもあります。
正直なところ、前巻から続くレビクシの光教団に関連するあれこれは、この作品に似合わないくらい殺伐としていたと思います。ぶっちゃけかなり違和感がありました。
これまでは犯罪っぽいことがあってもいいとこストーカーくらいでしたし、日常の中に時折そういった悪意が混じっていたからこそ背筋がゾクッとさせられたのですよね。この事件に関してはいきなり血みどろでしたし、唐突にそんな、命を賭けた戦いみたいに言われても、あんまりテンションが乗りません。宗教が絡んでくるというのも、なんか妙にリアルでえぐい。
るうるとタマキが学園でイチャイチャしながらゆるい謎を解くだけで十分満足というか、それこそが私の見たかったものなのですが、まあ、このあたりは趣味の問題ですか。
毎度ながら、謎解きは完全にタマキの独擅場でした。首の痒みとか、失われた記憶とか、他の人よりも推理しやすい状況が揃っていたことは確かですけれど、それにしてもこの突飛な発想力はずるい。もはや読者に当てさせる気がない感じ。
もっとも、タマキによってぽんぽんテンポよく、しかも予想外の方向に謎が解かれていくのは、見ていて気持ちがよいものです。このテンポこそがこの作品の一番の魅力とも言えますね。


教団員から逃げながらもイチャイチャは欠かさないるうるとタマキ。ある意味では事件の真実よりも重要ですからね! 愛は世界を救う!
ようやく素直になったタマキと、小動物のような甘えっぷりを見せるるうるのやりとりは、実に微笑ましい。いっぱいニヤニヤさせてもらいました。
言乃と小春さんのお邪魔が入るのかなとも思っていたのですが、このふたりの間に割り込むのはさすがに厳しかったのかもしれません。
タマキが素直になれた理由は、さて、どこにあったのでしょうか。単純に昔の記憶を思い出したからというのでは、少し寂しい気がします。
ここは、るうるの純粋なアプローチの積み重ねが、ようやくタマキに届いたのだという結論にしておくのが綺麗で素敵かなと思います。良かったね。るうる。


一歩間違えばどこかに穴ができて破綻してしまいそうな複雑さの中、細やかな伏線回収と見事なバランス感覚で最後まで走り抜けてくれました。
うんうん、最後はやっぱりこの台詞ですよね。決め台詞ってのはいいものですね。これのおかげで物語がビシッと締まった感じがします。
もっと、るうるたちと一緒にゲームを楽しみたい気持ちでいっぱいですが、残念ながらついていけるのはここまで。
突っ込みどころも多かったけれど、最後までわくわくさせてくれるお話でした。次回作も楽しみにしています。


結局シリーズ継続中に「ルールズ・ルール」をやってみる機会がありませんでした。いや、ブログでは一度やりましたね。誰も乗っかってくれませんでしたけど……。
この作品が記憶に埋もれないうちに、リアルでもやってみたいものです。難しいかなあ。