まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

聖剣の刀鍛冶14

聖剣の刀鍛冶14 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶14 (MF文庫J)

ストーリー
都市を捨て、ブレア火山の麓で迎撃の陣を組んだセシリーたち騎士団。
しかし侵攻した帝政列集国は魔剣の力で溶岩を越え、進撃を止めることがない。
そして遂に、都市騎士団と帝政列集国戦士団は、激しい剣戟を交わす乱戦に突入する……。



遂に最終巻……のはずが終わらなかった最終巻前巻。
仕方ないですよね。長く続いてくれればそれだけ長く楽しめるわけですから、こちらとしてはなんの異存もありません。
さて、本としてはクライマックス一歩手前だとはいえ、内容は本当の最終盤、最後の戦争に入りました。
独立交易都市、軍国、帝政列集国から戦士たちが集結し、天下分け目の戦いを繰り広げてくれます。これで盛り上がらないわけがない。


ページを開いていきなり契るの契らないのと、戦いを前にしてまで、まったくルークさんったら大胆なんだから……。
もう夫婦だからいいのか。いや、そういうものなのか?
ルークとセシリーだとどうあがいてもエロい方向には想像が向かないので、それなりに純粋な想いっぽく思えてしまうのがずるいですよね。ここでルークが言ってることを冷静になって考えると「せっかくなんだから集中したいっしょ」ってことであって、ド直球に色欲プンプンなんですけどね。いやいや、仲良き事は美しき哉。
一方、愛妻・セシリーさんは相棒たるアリアのことで頭が一杯のご様子。
この期に及んでまだ聖剣の力を発揮できていないのだから、それもまた当然のことと言えましょう。
正直この辺は焦らしすぎだと思いました。散々思わせぶりに覚醒フラグを立てておいて、まだそんな状態なのかよと。
来るぞ来るぞと期待が高まったところで先延ばしされると、一気にがっくりくるものです。そのせいか、前巻までに比べてどうも、ここぞというところの盛り上がりが足りなかったように感じました。最終巻でドカンとくるまでの前座と考えれば、それもまたありかなと思えますけれどね。


主人公たちがぐだぐだとやっている中、サブキャラ陣は実に気持ちのよい戦いぶりを見せてくれていましたね。
特にヒルダとハンニバルは良かった。ヒルダなんて、視点が彼女に移ったときには「別にどうでもいいから早くセシリーを!」という気分だったのですが、これだけしっかり格好良く決めてくれると、もうそんなことは言えなくなってしまいます。
ハンニバルはもう、言うことなしですね。敵味方を超えた宿命のライバル同士の一騎打ちには、ただただ胸が震えるばかりでした。もしこの戦いが他の場面で行なわれていればと思うと……惜しい。


次こそが本当の最終巻。いよいよ追い詰められたセシリーは、“すべてを救う”ことができるのでしょうか。
アリアの覚醒は果たして。魔剣だった頃の記憶は。ユーインとの関係は。ヒルダとヘイゼルとの関係は。そしてルークとセシリーの今後は。
問題は山積みで、本当にここから1冊で完結まで持っていけるのかと心配になってしまうくらいですが、私たちにはただ、待つことしかできません。
できるだけたくさんの人に笑顔が訪れる終わりでありますように。最終巻も楽しみにしています。


表紙のセシリーさんはどんどんイケメン度を増していくなあ。