まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

六花の勇者3

六花の勇者〈3〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

六花の勇者〈3〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ストーリー
テグネウの脅威にさらされたまま、魔哭領を奥へと進む六花の勇者たち。
その道中、ゴルドフが突如「姫を助けに行く」と告げ、アドレットの制止を振り切って姿を消す。
協議の末、ゴルドフの後を追いかけることにした一行だったが……。



アドレット? 誰それ?
と言わんばかりのゴルドフさんのターンでした。まあ、今までがだいぶ地味でしたからね。その分の大暴れということで。
前巻のメインがモーラで、さて今回は、とわくわくしていたところに、あらすじと表紙からどうやらゴルドフのようだ、となって、正直ちょっと残念に思っていたのですが、いざ読みだすとそんなこと全く気にならなくなってしまうから大したものです。
なんといっても格好良いんだ! めちゃくちゃ格好良い!
勇者としては問題だらけかもしれませんが、今回の主人公は間違いなくゴルドフさんでした。それだけは言える。


ナッシェタニア再臨。やっぱり本編に戻ってきてくれましたね。あのまま退場するにはあまりに惜しいキャラでしたし、これは嬉しい。
猫をかぶっていないナッシェタニアは悪女でした。というかゲスい。超ゲスい。特にゴルドフの扱いがひどい。でもそこがいい。
自分が信頼していようが、どれだけ想われていようが、利用できるものは全て利用する。実に明快な悪役ぶりで、ここまで来るともはや気持ちいいものがありますね。
これまでも、ゴルドフとの間にただの主従を超えた関係を匂わせていましたが、今回遂にふたりの来歴が明かされました。そこから一気に謎が紐解かれていくわけですが……。
いやはや、四章からの畳み掛け方は本当に素晴らしかったですね。それまでは頭の中が疑問だらけだったのに、次々にその疑問が解明されていく。
伏線回収とどんでん返しの応酬。そしてひとりで戦い抜くヒーロー。なるほど、これがミステリー+ファンタジーというものか。


騙し騙され、真実は埋もれ、どこに何があるのか全く分からない。そんな状況は、未だに続いています。
勇者同士の対立もあれば、凶魔同士の対立まであるから、とにかく情報が錯綜して混乱させられるんですよね。
最近忘れがちになっていますが、まず確実にこの中に「七人目」が隠れているわけです。しかし彼(彼女?)は、まだその片鱗さえも見せてくれません。
「七人目」のことを放置してとりあえず先へ進むというのは賢い選択かもしれませんが、そんなことをやっている間にどんどん各キャラへの疑いが減っていっている私がいます。
アドレット、フレミー、チャモ、モーラ、ゴルドフ、ハンス、ロロニアですか? こうやって並べてみると、いよいよもって、誰ひとりとして疑わしいキャラがいなくなっていて恐ろしいですね。この中に裏切り者がいるんですか? 本当に? テグネウの虚言じゃないの?
ああ、作者に踊らされている感じがひしひしと。ここまできたら、とことん踊り狂ってやろうではありませんか。
ストーリーもまた少し進んでいきそうな気配ですし、次の巻も心待ちにしています。


ドズーのぬいぐるみは需要がありそう。