まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

メイド様の裏マニュアル トラブル1:俺より強くなった場合

ストーリー
ある夜、トージは物部家次期当主としての使命を知る。
それは神が作った『世界塔』の中に存在する多様な異世界で問題を解決することだった。
傲岸不遜なトージは、ドジッ娘メイドのツギハと共に、自信満々で未知なる世界に踏み込むが……。



高木淳史先生の2年ぶりの新作ということで手に取りました。
ジャンルは……ええと、少なくともミステリーではないようです。
では何かといえば、よく分からんというのが正直なところではあるのですが、しいて言うなら謎解きギャグアクションでしょうか。
俺様お坊ちゃんのトージと、へなちょこ駄メイドのツギハが、力関係を入れ替えながら異世界のバグをトラブルシュートしていくのが愉快ですね。
さすがと言うべきか、さりげない伏線とその回収劇に、時折きらりと光るところがあって、上手いなあと思いました。


私もツギハをいじめたい……と、思わずSっ気をそそられてしまう、謎の魅力を発するヒロインですね。
基本的にトージに押さえつけられるのが似合っていますから、いざ立場が逆転すると、うざったいことこの上ない!
まあ、トージも相当横暴に接してきていたようですし、ツギハにとってはトージに反撃するまたとない機会ですもんね。気持ちは分からないでもないんですが。
でもやっぱり、役立たずメイドに上に立たれて悔しがるトージの方に感情移入してしまいます。
トージは、大富豪の御曹司らしく威張っているだけのように見えて、実は作中でも数少ない常識人ですよね。彼のツッコミなしにしては物語が成り立たないに違いありません。
ヒロインとしてはツギハよりもスイカの方が好きでスイカ様は最高です。
許嫁っていいですよねスイカ様は最高です。まだ本筋にはあまり関わってきていませんが、彼女にも何か裏がありそうな気がスイカ様は最高です。


わりあいお話のテンポが淡々としていて、「ここが盛り上がる場面だ!」という勢いがあまりなかったような。
とはいえ、まだ物語も始まったばかりですし、敵(?)の存在も明らかになったことですし、これから段々テンションを上げていってくれることに期待ですね。
恋愛要素なんかは、あるのかないのか分かりませんが、ツギハとスイカの刺々しいやりとり自体は結構好きですから、次回もあってくれればと思います。


イラストは穂里みきねさん。このメイド服は特定の部位を強調しすぎではないでしょうか。なんとけしからん物部家。
見た目ではカナセが一番可愛いと思います。


チェッカーは作者の趣味でしょうか? 将棋やチェスでなく、わざわざ説明が必要なゲームを持ってくるあたりにこだわりがうかがえますね。