まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

女子モテな妹と受難な俺(5)

女子モテな妹と受難な俺〈5〉 (ガガガ文庫)

女子モテな妹と受難な俺〈5〉 (ガガガ文庫)

ストーリー
新学期の朝、凛世からいきなり一緒に駆け落ちしてくれと頼まれた明日太。
驚きつつも、断りきることができなかった明日太は、凛世とともに逃避行の旅へ。
追っ手をまきながらたどり着いた山奥の旅館で、混浴に誘われてしまった明日太だったが……。



1冊まるごと凛世のターン! いや、凛世は大好きですから嬉しいっちゃ嬉しいんですが、「女子モテな妹」要素が5%くらいしかなかった気がしますね! 別にいいよね!
そもそも、この物語のヒロインが誰なのかと考えたときに、やっぱり今日子じゃなくて凛世が真っ先に出てくるんですよね。凛世エンドは楽勝で想像できるけれど、今日子エンドはまず予想がつきませんし。
そもそも、今日子や小麦がいなくてもラブコメが見事に成り立ってしまうことが、今回で明確に示されてしまいました。だって面白かったのだもの。
だから、今作のヒロインは凛世ということでいいのだと思います。改めて確信しました。タイトルなんて妹好きを釣るための餌に過ぎないのです!
まあ、考えてみれば、明日太は凛世のことまで妹扱いしている節があるし、そこまでタイトルに抵触しているわけでも、ない、かも、しれない……。


ハリウッド映画よろしくヘリまで持ちだして追ってくる一流企業を、とっさの機転でやり過ごして逃げ切ってしまう明日太さんが珍しく格好良かったです。こりゃあ惚れる。これからは仏像男子の時代か。
で、凛世さんなんですが、一度駆け落ちと言ってしまって吹っ切れたのか、やたら押せ押せムードでした。
もっとも、お相手がそろそろ悟りを開いてしまいそうな勢いの僧職系男子・明日太ですからね。凛世の方が押していかないと、なかなか二人一部屋や、混浴なんていう嬉し恥ずかしラブコメイベントへ持っていく事などできないことでしょう。
旅先で、少し開放的になった凛世は、自分に自信がなくなってしまっていることも相まって、それはもう大した魅力を発してくれました。
さすがの明日太も、もし般若心経がなかったら危うかったかもしれません。もちろん、貞操的なものが。


上にも書いた通り、明日太は凛世のことをほとんど妹みたいなものだと思っていて、私としては「そんな馬鹿なことがあるか」と常々感じているわけですが、一方の凛世も、今までは明日太のことを本当の「兄貴さん」のように考えていたようです。
そんな凛世ですが、ようやく、明日太への自分の想いが、兄に対するものとは少し違うということに気付き始めました。
だいぶ遠回りをしてしまったようにも思えますが、ひとまず、凛世の方だけとはいえ、一歩先に進むことができたのかなと思います。
他のライバルは、しいて言えば今日子ということになるのでしょうけれど、この兄妹は本当にきょうだいという感じで、そっち方面のイベントはほとんどなかったような気がするので、たぶん凛世のひとり勝ちということでいいんじゃないですかね。
まあ、今日子のことですから、いざそういうことになったら、兄を取られないために凛世と対決くらいしそうでもありますが。
さて、残る問題は明日太です。いやはや、この男、どうしたらまともに恋愛ができるようになるのでしょうか。高野と比叡の爪の垢でも煎じて飲めばよろしい。
ラストの凛世のクリティカルアタックによって、少しは動いてくれるといいのですが。期待薄かな。
ともあれ、次回からはますます恋愛模様がヒートアップしていく予感。次も楽しみです。


イラストでの緋影の扱いがだいぶひどかったような気がするけれど、凛世が可愛いのでよし。