まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

さくら荘のペットな彼女7.5

ストーリー
まだ仁や美咲が1年生だった頃、総一郎は文化祭で、はうはうこと姫宮沙織のコンサートを目にする。
仁と美咲の引きあわせもあり、すぐに意気投合した総一郎と沙織。
一年後、生徒会長となり、沙織への気持ちにも気付いた総一郎だったが、未だにその想いを告げられずにいた……。



総一郎&はうはう、空太&ましろ、七海&空太の3本の中短編が入った短編集。
本編の方で大変な流れになっているところでの短編集だったので、あんまり読む気がしなくて、しばらく放置してました。ましろと七海、空太がどちらを選ぶかの重要な局面なのに、ここではうはうの短編なんか読んでいられるか! ってなもんです。
ですがアニメも始まったし、8巻が出てしまって、さすがに刊行順を無視して読むわけにもいかないので、仕方なく読み始めてみたら……。
結果的には、総一郎とはうはうの短編が一番面白かったのだから、いやはや、甘く見てましたというか、やっぱり読んでみないと分からないものですね。


「生徒会長のはうはうな彼女<上><下>」は、総一郎とはうはうの馴れ初めから、ふたりが付き合って、卒業するまでを描いたお話。
これだけで200ページくらいあるのでぶっちゃけこの巻のメインなのですが、上にも書いたように、この短編が一番面白かったです。もっと言えば、この短編の<上>が一番好みでしたね。
本編では、さくら荘のメンバーが中心となって動きますから、言ってしまえば、「変人たちの」恋愛模様が描かれているわけです。もちろん、それはそれで面白い。
一方、総一郎とはうはうの恋は、はうはうが多少一般人離れしているとはいえ、あくまで「一般の高校生の」恋愛模様という印象でした。なんというか、地に足がついているのですね。
文化祭で出会ってから、学校での何気ないやりとりや、勉強会を通して、だんだん相手に惹かれていって、でも肝心なことは何も言い出せなくて、あげくに誤解させてしまって、どうしようもなく空回り。キャッチコピーを作るなら「初恋、はじめました」という感じで、ああ、きゅんきゅんする!
たこの、総一郎がいいんですよ。いかにも不器用でねえ。生徒会ではやり手でも、自分のことになるとからっきしというあたりに、好感が持てる主人公でした。
そんな、不器用極まりない総一郎が、生徒会長だからこそできるやり方で、一歩踏み出すというのも、良かったです。これはもう、はうはうじゃなくてもグッときてしまいますよね。
<下>の方は、読者からしてみれば、あ、はい、どうぞお幸せに。という具合。ちょっと本編に近づいたかもしれません。何を考えているのか分からないヒロインに主人公が振り回される構図が。
それにしても、はうはうはいいキャラしてますね。天才だけれどぶっ飛びすぎず、まっすぐで、恋愛に関しては総一郎に負けず劣らず不器用なんだけれども、時折ドキッとするような台詞を吐くもんだから、油断ができません。改めて、似たもの同士、お似合いのカップルですね。


「風邪を引いたペットな彼女」は、風邪で寝込んだましろを空太が看病するお話。
ましろさん、あざとい。あざとかわいい。ずっと思っていましたが、なぜいちいちエロく聞こえることばをチョイスしてくるのでしょうか、この子は。
わざと? わざとなの? わざとだったら相当な策士だと思いますけど。むしろ空太の自制心が凄すぎる。こんな女の子なら、毎日でも看病していたいもんですね!
「青山七海のもっと乙女なスプリング」は、空太たちが3年生になってからの、七海視点のお話。
ましろか七海かで言えば、私はましろ派ですから、正直読むのは気が重かったのですが、彼女も大切なキャラクターのひとりですし、読まないわけにもいきません。
友人たちとこんな風に会話しておいて、やることはしっかりやっているのだから、七海さんもなかなかの大物です。
ところで、やよいのお相手のことが気になって仕方ないのですが、そちらは描かれることはあるのでしょうかね!


美咲と仁が、総一郎とはうはうの恋のキューピッドということになるのかしら。恋愛で仁のお世話になるって、なんかとてつもなく嫌ですね……。