まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

子ひつじは迷わない 贈るひつじが6ぴき

ストーリー
文芸部部長・東原に依頼され、連休を雪山のロッジで過ごすことになった真一郎たち。
クリスマスを間近に控えたロッジで彼らを迎えたのは、どこか奇妙な姉妹だった。
姉妹の妹・千代から、五年前の自分たちになりきってお芝居をしてほしいと言われた一同だったが……。



仙波さんの! ミニスカ! サンタコス! うおおおお!
メガネを取り払ってこちらを見やる目付きがやたら色っぽい。もうこれだけでご飯3杯はいける。
こんな仙波の姿を目の前にして、あげく頭まで撫でちゃった真一郎さん。彼の幸運もここに極まれりといいますか、ああもう、羨ましい立ち位置ですなあ!
さて、第6弾となる今回は4巻に続く長編。謎の館の次は吹雪の山荘ということで、なんというか、定番といえば定番ですね。
謎解きの要素はあんまり強くないけれど、いつもの短編の相談ではできそうにないお約束イベントなど豊富で、キャラ同士の関係がまた大きく動く巻になっていたと思います。


今回の主題は、5年前に山荘で起きた“殺人事件”の真相を解くことです。
しかし、そんな謎よりもよっぽど謎めいているのが、山荘で真一郎たちを待ち構えていた姉妹・千代と倉子。
芳花さんもそうだったように、今度の長編でも、提示された問題以上に人物の方がミステリアスで、むしろそちら側に話の中心が置かれているように思えます。
倉子さんはともかく、千代は無邪気であっけらかんとしていて、第一印象ではよっぽど仙波や佐々原の方が変人に見えたけれど、彼女のことを知れば知るほど(つまり仙波が指摘するほど)、どんどんおかしな部分が見えてくる。
得体のしれない人間は怖いものです。基本的には、楽しげでわくわくする合宿なのですが、そういったキャラがいることによって、ときどきヒヤリとさせられる。その感じが結構好きですね。


真一郎は仙波にひと筋でいればそれでいいと思うのですが、なかなかどうして、他のヒロインが放っておいてくれません。
佐々原も会長も独占欲が強いくせに意地っ張りですから、間に挟まれた真一郎の苦労たるや。さすがに不憫に思えてきますね。
会長はともかく、佐々原はまたさりげなくいいところを持っていったような気もするし、肝心の真一郎の方もまだ目移りしてしまっているようだし、そもそも仙波の気持ちが……。このほのかな恋愛の行方は、まだまだ分からないようですね。


さて、あとがきによれば、この巻で「一区切り、次巻未定」とのこと。先に読んでいた知り合いが絶叫していたのはこれか……。
いやいや、でもさすがに出るでしょう! ここで終わりはないでしょう! ねえ、そうでしょう?
真一郎、仙波、佐々原の物語が、ここで終わっていいはずがありません。いつかまた続きが読めることを信じて、待っていたいと思います。もちろん、新作の方も楽しみです。


「仙波のふにふにほっぺたマウスパッド」の発売が待たれる。